最終話 文句なしの大勝利
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向いて日常生活を送れるよう努力している。自助会や講演会への参加も断ってきた私は、自分の経験を誰かのために活かそうとはしなかった。だが、私の体験談が今日、あの異星人に何かをもたらせたかもしれない。遥か遠く、銀河のどこかにある彼らの星にとって、私の話が役に立つのだろうか。彼らの星で性暴力の被害に晒される者を、わずかでも助けることができるだろうか。
荒れた室内を片付け、コインランドリーから出ようとした際、異星からの来訪者が出現したビデオテープが目につく。二時間録画用のテープは左側の窓がスカスカで、ほぼ再生しきった状態であることがわかった。
「巻き戻してから帰ってよ」と私は冗談っぽく一人呟いた。
その日の夜、紅組が前代未聞の大差で勝利した。
(完)
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