暁 〜小説投稿サイト〜
性暴力が星を滅ぼす
最終話 文句なしの大勝利
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 遠くから声が聞こえる。やたら活舌がいい。
「よかった、気がついたようだな」
「ああ、うん」と私は半目で抑揚のない返事をした。床の上で、くの字に寝た格好をしている。どうやら意識を失っていたらしい。
「私、気を失ってたのかな。どれくらい寝てた?」
「十分程だ」
「たったの? そうなんだ」
 突発的な怒りで感情が抑えられなくなり、パニックを起こしたことがウソのように、私は冷静になっていた。
「そうだ、洗濯物」と言いながら立ち上がり、私は洗濯機から衣類を取り出し、併設されている乾燥機に放り込む。
「あらためて謝罪したい。私の発言で、君をあんなにも傷つけるとは予想できなかった」
「ううん、いいよ。あなたは本音を語ってくれただけ。聞き出したのはこっちだし」と私は彼に背を向けたまま返事をした。乾燥機のスタートボタンを押す。
「まだ、続きがあるんだ」
「聞かせて」
 ゴウンゴウンと音を立てる乾燥機の中で、私の湿ったシャツが、下着が、円を描いて回り続ける。
「私は未遂の性犯罪者だ。本来なら処刑されてもおかしくない。だが、このミッションにおける現地調査員グループのメンバーに選ばれた。加害者の視点もあったほうが、より広い分析が行えるだろうという上の考えだ」
 見た目は猿だが、目の前にいるのは異星の性犯罪加害者だ。私はいま、加害者と二人きりで話している。私の心は動じていない。
「あなたは帰ったら処罰を受けるの? それとも、この仕事の成果で減刑されたりとかは」
「どんな判断でも素直に受け入れる」と淡々とした口調で彼は言う。本心ではどう思っているのかわからないが、私はそれ以上、聞くことはしなかった。
「さっきね、倒れている間、夢を見たんだ」
 私は恵里とのことを話し始めた。乾燥機の中のシャツと下着はカラフルに回り続ける。色が交じり合っていく。


「実りある話をありがとう」
「これくらいでいいのかな。なんか、とりとめのない話しかできてないけど」
「内容も重要だが、それを語る君の表情や仕草もしかと記録させてもらった。言葉の情報だけなら現地に降り立たなくとも、遠隔でデータを受信するだけでいい。しかし、自己の体験を語る、その瞬間の感情の高ぶりや心の機微は、実際に相手と対面しなければ完全には理解できない。我々が大掛かりな手間をかけ、地球に直接出向いた最大の目的は、君たちの顔をこの目で見ることなんだ」
「モンキーの目を通してだけどね」
「いまのは冗談ということでいいのか」
「わかってるじゃん」と私はからかうように言った。
「さて、君に礼をしなければ。金品ならすぐ用意できるが」
「いいって。気を使わないでよ」
「それなら…」
 彼は間合いを見計らうかのように言葉を途中で止めたあと、「加害者への罰は欲しいか?」と口にした。
「言ってるこ
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