最終節「かばんの隠し事」
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、あの時の熱い熱い炎の中で……それから……。
よく、分からない。ずっと夢を見ていたような、そうでないような、不思議な気分。
でも、そろそろ起きる時間みたい。
目の前が眩しい。懐かしい匂いがする。
あっ……これ……姉さんの匂いだ……。
「おはよう、セレナ」
「おかえり……セレナ……」
目が覚めると、世界で一番大好きな2人の声が、温かさと一緒にわたしを包み込んだ。
ff
セレナを目覚めさせた後、マリア、ツェルト、調、切歌、そしてウェルはテロリストとして逮捕・拘束され、ここに一応の事態は収束した。
武装組織フィーネを名乗った彼女らの活動の殆どであり、逮捕された場所でもある日本国内での裁判が予定されていたが、国家でなく、全世界を相手にした前代未聞のテロ行為に対し、米国政府は国際法廷での審議を要求。
だが、この裏には世界正義を標榜する米国政府の裁判介入を実現させ、フロンティア事変の裏側にある諸々の「不都合な事実」を闇に葬る思惑があった。
まったく、連中はこれっぽっちも懲りちゃいないらしい。
その上口封じの為に、ウェルやマリア、ツェルトのみならず、未成年である調や切歌にも死刑適用を進める周到さには、正直言って吐き気がしたね。
だが、それを許すほど日本政府も甘くはなかった。
先んじて仕掛けた外務省事務次官、斯波田賢仁の働きによって、月落下の情報隠蔽や、F.I.S.の組織経緯などが激しく糾弾されることとなる。
国の不都合を隠す為に子供を死刑になどさせない、という人情と、ネフィリムの脅威から世界を救った装者達を犠牲にさせるものか、という義憤。
さすがは義理人情に厚いSAMURAIの国だ。惚れ惚れするね。
一方、米国政府は国際世論の鋭い矛先を躱すために「そんな事実などない」と終始主張した。誰の目にも限りなくブラックに近いグレーだったが、米国政府は頑なに情報開示と捜査介入を拒否。
ところが意外な事に、日本政府はそれ以上の追求をしなかった。
その結果、米国政府に情報隠蔽の事実はなく、また、F.I.S.などという組織も存在しないという結論に至る事となった。
一見、あまりにも理不尽で、しこりの残る結末だ。
しかし、存在しない組織であるF.I.S.がテロ行為など起こせるはずもないというパラドックスに陥り、まわりまわってマリア達の罪状は消滅。死刑適用は回避され、国連指導の特別保護観察下に置かれる事となった。
日本政府に借りが出来たな……。まあ、文句はないがね。
そいつを返すためにも異動先で何とかやっていかないとな。
今回の件でF.I.S.は解体。職員は軒並み異動、レセプターチルドレンはプロフェッサー……ナスターシャ教授が蜂起した際に存在が明るみに出た
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