計算高き堕天使
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てきていた。仲間だったからこそ彼女の子供っぽい性格は知っているが、それでも度を過ぎていると思っていた。しかし・・・
「そうか!!そういうことか!!」
後ろにいる三頭の竜の声で、その考えはすぐに打ち破られた。
「あんたの言いたいことがやっとわかった!!」
「しかしよくそんなこと思い付いたな?」
「さすが俺の嫁の親」ボソッ
三大竜は彼女の意図がすぐに理解できた。スティングとグラシアンはヨザイネに詰め寄る勢いで駆け寄り、ローグは皆に聞こえない程度の声でそんなことを言っていた。
「ずっと納得できてなかったの。私とシリルの想いは一つだったのに、完全にはそれを実現できなかった。それはティオスが時の狭間を掌握していたからなのよ・・・たぶん・・・」
最後の方が自身無さげでやや不安が残るがそれでも構わない。なぜなら絶望を覆す突破口がようやく見えたのだから。
「グラシアンはオーガストに変身して!!ディマリアと二人で時の狭間を開くの!!他の皆は二人に魔力を分貸して!!」
時の狭間が近付いて来たことにより指示を出していく堕天使。この作戦の全てを理解したグラシアンはすぐに変身するが、まだ理解できていないものたちはそれに動けない。
「待てヨザイネ!!まだ何がなんだかわからない!!」
「もう!!ディマリア察し悪い〜!!」
地団駄を踏んでいるヨザイネに何か言いたげなディマリアだったが、グッと言葉を飲み込み彼女を睨み付ける。その眼光で怒っていることを察したヨザイネはビクッと体を震わせたかと思うと、冷静に言葉を紡いだ。
「ティオスを止めるにはこれしかない。時の狭間を開いて時間の流れをでき得る限り正常に戻す」
「それをするとどうなるんだ?」
「彼の中にいる存在・・・
この時代のレオンを生き返らせる」
「「「「「!?」」」」」
三大竜以外の全員がその言葉に驚愕した。そんなことができるのかとも思えたが、ヨザイネの真剣な眼差しに彼女が本気であることを悟る。
「これはギャンブルよ。理論上はうまくいくはずだけど、何が起こるかわからない。でも、それぐらいのことをしないと私たちに勝ち目はないわ」
一か八かの確率論に全てを委ねた堕天使。果たしてそれが吉と出るか凶と出るか、その先は神のみぞ知る。
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