計算高き堕天使
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も知らずに。
「君が何か策を持っていても、それは君の力の範疇でしか実現できない。僕たちを倒すなんて、できないんじゃないかな?」
「そう思うならそれも良い。あとで後悔するだけなのだから」
互いの挑発を皮切りに両者が後方へと飛ぶ。あえて接近ではなく距離を取ったのだ。その理由はもちろん、互いに大きな技を放つための時間を確保するため。
「封印の氷地獄!!」
「天照二十八式」
動きを封じにかかるティオスと初っ端から大技を仕掛けるオーガスト。双方は別々の判断を下したが、ここは魔導の王に軍配が上がった。
魔法陣から現れた黒い柱がティオスから放たれた冷気を押し返す。目の前まで敵の攻撃が来たところで、彼は地面を蹴り宙に体を浮かせる。
「コピーだけじゃない。これだけの魔法も放てるとはな」
長い年月を父の目的のために過ごしてきたオーガストはメインに使用している瞬間コピーの他にも使える魔法がある。その中でも天照魔法陣は、かつて悪魔の心臓のマスターハデスも使用していた強力な魔法。それを使えれば、ティオスに対抗することもできる。
「でも残念。僕は一人じゃないんだよ」
ティオスに視線が向いているオーガストの目の前に現れた天海。彼は隙が生まれている敵目掛けて回し蹴りを放つ。
「やらせないわ!!」
だが、それはギリギリでアイリーンが防御する。標的を変え追撃しようとした天海だが、後ろから見えた二人の剣士に気付き、後方へと下がる。
「「ハァッ!!」」
エルザとカグラ、二人の一撃は天海を捉えることをできなかった。その間に地面へと着地したティオスだったが、彼らは感じていた。少しずつ流れが変わっていることに。
「なんか、嫌な感じだね」
「そうだな」
数的優位はフィオーレとアルバレスの連合軍。そこにオーガストが加わったことにより戦力も増したと言えるだろう。だが、それでもこの二人には焦りの色が見えない。
「まぁ、それでも大した脅威にはならないけどね」
そう言ったティオスの目を見てシリルたちの体が一瞬ビクついた。この状況でも決して折れない彼らのメンタルと纏う殺気に、冷静さを保つのが精一杯だった。
「ん?」
必死に心を落ち着けているシリルたちとは対照的に余裕がまだ見えるティオスと天海。その余裕からなのか、天海があることに気が付いた。
「ティオス、あれはあのまま行かせていいのか?」
「あれ?」
天海の指さした方向を見ると、そこには上空へと飛び上がっている青い天馬のクリスティーナの姿があった。
「へぇ、そういうことか」
その時、ティオスはオーガストがなぜここにいるのか、そして何をしようとしているのかを自分なりに解
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