計算高き堕天使
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目を見開いた。
シリルside
「兄ちゃん・・・」
「メイビス・・・」
もう形すら残っていないゼレフと初代がいた場所を見てナツさんとウォーロッドさんが顔を俯ける。その姿を見て、天海はタメ息を漏らし、レオンは笑みを浮かべていた。
「くくっ、お前らだけ幸せに死ねると思うなよ?」
全ての人間をこの世から消し去ると宣言していたレオン。その彼の表情はあまりにも悪魔じみていた。
「レオン!!ふざけるなよ!!」
全員の怒りが頂点へと膨れ上がろうとしていた時、先頭に歩いてきたのは、彼のいとこである青年だった。
「リオン、何度も言わせるな。俺はもうお前らの知っている俺じゃないんだ」
その言葉すら彼にはもう響かない。その姿を見て、俺も怒りの限界値を越えていた。
「レオン・・・お前にはガッカリした」
「は?」
今できる限りの魔力を高めていく。妖精の心臓を使ってしまったせいでいつもの魔力が見劣りしているように感じてしまう。それでも、消えかけていた翼が片方だけとはいえ、元のサイズに戻りつつある。
「これ以上お前の横暴を許すわけには行かない」
「それをさっき止められなかったから、今苦しんでいるんだろ?」
そう言った彼の顔が余裕綽々であまりにも苛立ってしまった。その結果、俺は誰よりも先に飛び出す。
「待てシリル!!1人で先走るな!!」
リオンさんの制止も聞こえず突っ込む。レオン目掛けて突進していく俺を見ても、彼は慌てて構えるようなことはしなかった。
ヒョイッ
まるでその動きを待っていたかのように体を横にズラすと、そのまま拳を握りしめ腹部にそれを打ち込んでくる。
「かはっ・・・」
ノーモーションだったはずなのに、声すら出せないほどの重たい一撃。しかし、ここで怯むわけには行かない。体勢は悪いが、そのまま彼の顎を目掛けて鉄拳を放つ。
「さっきまでの力の見る影もなくなっているな」
予備動作を入れていないのだから見破られるはずがない。それなのに、簡単に見極められ手を払われた。
「火竜の・・・」
そのままひじ打ちを放とうとしてきたティオス。だが、それよりも先に1人の青年が飛び込んできていた。
「翼撃!!」
炎を翼のように広げた攻撃。ティオス目掛けてそれを放ってきたナツさんだが、その攻撃が届くよりも前に、もっと強力な敵が割って入った。
「まるで遅いな」
「!!」
ナツさんの目の前に出てきた天海は、火竜の翼撃から避けることもせずそのまま拳を打ち出すと、魔法ごと彼に右ストレートを打ち込んでいった。
「ぐはっ!!」
炎の翼を容易く破り、ナツさんの顔面に
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