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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第40話:エンターテイナーの使命
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説聞いてない!? 人を勝手に手品の助手にすんなッ!?」

 予告無しで手品の手伝いをやらされた事に、奏は颯人に掴み掛りがくがくと揺らした。
 その様子に圧倒されていると、2人の元に奏の胸元から姿を現した猫がやってきた。

 近付いてきた猫に2人が注目していると、猫は2人の間に飛び乗り満足そうに鼻を鳴らして丸くなった。

 自分から近づいてきた無防備な猫に、響が誘惑に負けて頭から背中にかけてをゆっくり撫でると猫がごろごろと喉を鳴らす。
 その愛くるしい様子に、響だけでなく未来も笑みを浮かべる。

「「フフフ…………あ!?」」

 思わず笑みを浮かべ、そして互いに笑っている事に気付くと慌ててそっぽを向いた。しかしそれは互いに無防備な姿を見せたくないと言う意地からくるものではなく、単純に少し気まずいものを感じたからの行動であった。

 突然撫でるのを止めそっぽを向く2人を猫が不思議そうに眺め、もっと撫でろとでも言うかの様に一声鳴いた。更には気を惹こうとしているのかひっくり返って腹を見せ、響と未来にじゃれついてきた。
 これには流石に2人も無視することは出来ず、顔を見合わせて笑い合った。

「ぷ、くすくす――!」
「あはは!」

 どちらからともなく笑い合い始めた響と未来に、服の下から猫と鳩を出されて颯人に掴み掛っていた奏も動きを止めていた。対する颯人の方は、2人の雰囲気が変化したことに手応えを感じ満足そうな笑みを浮かべた。

 一頻り笑い合い、肩の力が抜けたのか響は自然な表情で未来に話し掛けた。

「未来、ゴメン。今までずっと危ないことしてたの黙ってて」
「ううん、私の方こそゴメン。響が私に黙って危ない事してるって知って、置いてかれたような気になって。何だか響が遠くに行っちゃうような気がして、気が付いたら……」

 自分の知らない響の一面に、疎外感を感じて色々な気持ちがごちゃ混ぜになった結果、未来自身もどうしていいか分からなくなってしまったのだ。その結果が先日の響への拒絶である。
 その気持ちの正体に気付けた、今の未来は素直な気持ちで響を見る事が出来ていた。彼女の心には、最早疎外感など存在しない。あるのは響を想い、彼女が帰る場所を何が何でも護るのだと言う使命感に近い決意であった。

「響、私決めた! 私は、響が帰る場所を全力で護る。響が笑顔で帰ってこれるように待ってる。それが私の戦い。だから響、絶対に帰ってきてね」
「未来――!! うん!!」

 未来の言葉に、感極まったのか目に涙を浮かべながら頷く響。一度は離れてしまった2人の心が、ここに再び重なり合う事が出来たのだ。

 仲直りで来た2人を見て、安堵の溜め息を吐く颯人。
 そんな彼の脇腹を、奏は称賛の言葉と共に軽く小突いた。

「やるじ
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