第5話 いつか見た未来
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。『風が吹けば、桶屋が儲かる』ってことなんだろうけど、すっごく恐くて。それを見たせいじゃないけどさ、私は誰かの人生に介入したくないんだ」
「あたしが将来、大物になっちゃったりとか?」
「そういうこと。未来を守らないと」
「ひっどい!」と彼女は怒りながらもなんだかうれしそうな表情を見せる。
「ごめん、ごめん。でも……矛盾すること言っちゃうけど、誰か一人くらいは私がいたことで、その人に変化が訪れてほしいかも」
「それは、あたしってことでいい?」
「どうかな。蝶を踏んだくらいで大統領が変わるからね、未来なんてのは。恵里の場合は……」
「また、ひっどいことを言おうとしてるでしょ!」
なんだろう、これは? おそらく、事件が起こる少し前の記憶だ……そうか、恵里だ! いま気づいた。私が潰れないでいた理由は彼女なんだ。事件のあと、周囲との交流を絶って、恵里とも疎遠になってしまった。だが、私はあの頃から、そしていまでも、彼女の人生に関わりたいと思っているんだ。口には出せなかったものの、私の持つ何かで、恵里の人生をほんの少しでもよりよく変えられたら。おこがましいことだが、本気でそう思っているんだ。だから、そのためにも私は強さを取り戻したい。仕事を頑張っているのもその過程に違いない。これは思い込みなんかじゃない。きっと、そうなんだ。そして、いつか、あの子にまた会いたい……。
×××
「……起きてくれ。大丈夫か?」
(続く)
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