“ホシトハナ”
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。思わない?』
『ないね』
キュウべえはきっぱりと答えた。
『愛情だとか、特定の物への気持ちとかは、非効率的じゃないか。使えないものを切り捨てたほうが、何倍も効率がいいのに。そんなもの、全く理解できないよ』
『あらら。随分とドライなんだね』
キュウべえはモノクマの言葉にそれ以上耳を貸さず、そのまま立ち去っていった。
『そうだよ。モノクマもコエムシも、それぞれ何かに固執しすぎてるよ。僕たちには必要のない、感情なんだから』
『4』。
そろそろ人型の怪物も嫌になってきたころ、可奈美の前に現れた額の数字がそれだった。
ドレッドヘアのような成人男性のゾンビ『4th』が、こちらに銃で発砲している。
可奈美は千鳥でそれらを撃ち落とすも、そこからアカメの斬撃までケアしなければならない。
「こんなの、私でないと誰も防げない……!」
アカメの村雨を受け止め、体を彼女にタックルさせることで、『4th』の銃弾を避ける。アカメと落下して、落ちたフロアに『4th』がいたのが可奈美の運の尽きだった。ただひたすらに侵入者を排除しようとする『4th』と、令呪により、可奈美の殺害のみを狙うアカメの二体一の状況が続いていた。
「アカメちゃん!」
「お前もマスターなら分かるだろう?」
何度も剣を交えながら、アカメは語った。
「私たちサーヴァントは、令呪を使った命令には逆らえない。私の体は、常にお前を最も効率的に追い詰める算段を組んだ上で攻撃している」
アカメの言葉を証明するように、彼女の腕は、可奈美の対応が比較的遅いところを明確に攻めてくる。
受け止め、躱した可奈美は、アカメより距離を取る。すると、その地点に『4th』が銃弾を叩きこんでくる。
「アカメちゃん!」
「今までと同じだ」
アカメは、村雨の刃で目線を隠した。彼女の視線が、村雨の銀を見つめている形となり、彼女がどんな表情なのかが分からなくなる。
「命令により、ただ殺す。昔も、仲間たちと出会った後も、死んでサーヴァントになった後も。前は、皆のために、平和のためにと思ったが、今は何も思えない……」
彼女の言葉に、可奈美は口を一文字に固めていた。
『4th』の銃声が止むことはなかったが、それは全て、体を前後に揺らすことで無力化できた。
「……私の剣とアカメちゃんの剣は違う。それは分かってる」
可奈美は、静かに語る。
「私は、ただ……相手と対話するための剣。アカメちゃんのは、相手を殺すための剣。その違いは分かってる」
鍔迫り合いになり、彼女の刀に、自分の顔が映る。自らの眼差しがアカメの片目を塗り潰した。
「でも、だからこそ! アカメちゃんに、伝えたいことだってある!」
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