第8章:拓かれる可能性
第253話「再臨」
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の前のイリスが消える結末を否定した。
「……せっかく諦めがついていたのに、そういう事を言われたら……期待しちゃうじゃないですか……!」
「ああ、期待しておけ。……完全無欠のハッピーエンドを掴んでやるよ」
気が付けば、周囲の“闇”はほぼ消え去っていた。
優輝が力を取り戻したらしく、一気に自我を取り戻したのだ。
「っ……そういう、そういう所ですよ、本当に……」
「悪いな。僕は良い意味でも悪い意味でも諦めが悪いんでな」
「(だから……だから、私は貴方を………)」
いつの間にか、イリスの涙は止まっていた。
「……後は任せます」
「ああ。お前が示した“可能性”、一片たりとも無駄にはしない」
その会話を最後に、イリスは光の粒子となって消えた。
だが、優輝はその粒子を掴み取り、大事に抱えるように自分の体に取り込んだ。
「……あっちのイリスにも、お前の想いを思い知らせないとな」
刹那、ガラスの割れるような音と共に、優輝の意識は現実へと戻っていった。
同時に、溢れんばかりの理力を体の内から漲らせていた。
「来い、ミエラ、ルフィナ」
慄くイリスを前に、優輝は“天使”の名を呼ぶ。
現れるのは、奏となのはの体を依り代にしたミエラとルフィナだ。
「ようやくですね、主よ」
「この時を待ちわびていましたよ、主様」
「待たせたな」
短い会話を済ませ、優輝は理力を集束させる。
その理力は二つの人の……否、“天使”を形作った。
そして、ミエラとルフィナが光に包まれ、その光がそれぞれの人形に入った。
「これで、私達も本来の姿に戻れます」
姿が変わり、ミエラは膝裏まで届く程の長髪、ルフィナはセミロング程の長さの、亜麻色寄りの金髪になっていた。
容姿も変わっており、ミエラは騎士のような凛々しさを、ルフィナは聖母のような優しさを思わせるモノに変わっていた。
服は理力で構成したのか、それこそ天使のような衣を纏っていた。
「依り代はお返ししましょう」
残ったのは奏となのはの体だ。
本来の体に戻った二人は、その体を抱えて近くにいた士郎と奏に渡す。
直後、分身体を使っていた奏は元の体と一つになり、元に戻った。
「……お兄ちゃん……?」
「ありがとう、緋雪。……緋雪の、皆の想いはしっかりと聞こえていたぞ」
「っ……!」
感極まって緋雪は優輝に抱き着く。
それを優輝はしっかりと受け止め、少ししてから優しく引き剥がす。
「詳しい話は後だ。……まずは、イリスを退ける」
そう言って、優輝はイリ
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