第8章:拓かれる可能性
第253話「再臨」
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れで、“成果”はあったか?」
「……はい。いくつもの、人の“可能性”見ました。貴方のものだけでなく、ありとあらゆる存在の“可能性”を……」
非常に満足したような表情で、イリスは優輝の言葉に答える。
「例え善なる者でなくとも、“可能性”は示せる。……それこそ、私のような存在でさえ。……あの時、貴方の言った通りでした」
「違う生き方が、出来たんだな」
「はい。……貴方のおかげです」
神界の存在は、そのほとんどが“性質”に縛られている。
イリスのように“闇の性質”であれば、どうしても悪や負によった存在になる。
だが、それは絶対ではない。
光が闇を示す事もあれば、その逆もあり得る。
例え“性質”があろうと、それは変わらない。
……イリスは、ようやくその事に気付けたのだ。
「こんな私でも、違う生き方が……光を、可能性を示す事が出来ました。……それで、十分です。きっと、貴方や外で戦っている人が、さらなる可能性を拓くでしょう」
「……消えるのか」
「はい」
それは、尋ねるような口調ではなかった。
優輝も分かっていたのだ。目の前のイリスが、もう限界だと言う事に。
“領域”すら犠牲にして、“可能性”を拓いたのだと
「未練はないのか?」
「もちろんありますよ。もっと何か出来たんじゃないかって、もっと別の選択が出来たんじゃないかって……」
儚く微笑むイリスから、涙が零れる。
声は上擦り、表情が悲しみに染まっていく。
「もっと……もっと、貴方と話をしたかった……!」
「イリス……」
本来、神界の存在にとって“死の恐怖”というのは存在しない。
“領域”が消失するというのは、自ら選ばない限りあり得ないからだ。
だが、このイリスはその“領域”の消失を選んだ。
誰かのために、皆のために、その身を犠牲にしたのだ。
転生とは違う、正真正銘の“死”を、初めて味わうのだ。
「貴方に魅せられた!貴方に教えてもらった!貴方に見せたかった!……貴方に、ずっと恋していたかった……!」
「………」
「でも、それはもう叶わない。私は、ここで消えるから……」
やり遂げた。だから、これ以上は諦めた。
そう、イリスの顔が語っていた。
「……イリス。お前は言ったな?“可能性を示した”と。……なら、少しぐらい報われる“可能性”もあるだろう」
「え……?」
「生憎、僕は数多の可能性があろうと、大団円のハッピーエンドが好きなんでね。……イリス、例えお前が本来のイリスのごく一部分でしかなかろうと、消えさせはしない」
目の前のイリスが消えようと、“イリス”という存在そのものに影響はない。
だが、優輝はそうであっても目
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