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レーヴァティン
第百六十二話 普通の難しさその三

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「必ず逃げた先でも悪事を繰り返す」
「それ故に」
「国に入る前にな」
「関所で止めて」
「中に入れない、その関所でだ」
「処刑するでありますな」
「だから俺は関所に刑場も置いている」
 そちらもというのだ。
「そして首切り役人達もだ」
「置いてそのうえで」
「賊を見付けてだ」
 そしてというのだ。
「処罰している、また他国に逃げようとする賊もな」
「領内で悪事を働き」
「そこでだ」
「捕らえ処刑する」
「その様にする、だからやはり関所はな」
「置いておくでありますな」
「そうする、そうもしてきたが」
 それでもとだ、英雄は述べた。
「これからもな」
「国境の守りの一つとして」
「置いていく、しかし」
「国境は静かであります」
 峰夫もこう言った。
「今も」
「そうだな」
「お互いに争っていてです」
「こちらには来ないか」
「耕平君が言った通りであります」
 峰夫が見てもだった。
「尾張や美濃、加賀は」
「そして他の国でもだな」
「一国を治めている勢力もありますが」
 それでもというのだ。
「多くの国ではです」
「国人同士でか」
「争っている状況であります」
「それでだな」
「我々には来そうにないであります」
「成程な」
「では、でありますな」 
 峰夫は豆腐料理を食べつつ英雄に笑って問うた。
「相手が争っているその間に」
「俺達はな」
「内の政を進める」
「そうする、幕府の仕組みも整えないとな」
「江戸幕府を手本にするでありますな」
「幕府の政の仕組みは見事だった」
 江戸幕府のそれはとだ、英雄は淡々とだがその中に賞賛の言葉を込めてそのうえで峰夫に対して話した。
「柔軟でかつ確実で細部まで目が届く」
「そうしたものでありました」
「だからこそ長い間安定していた」
 二百年以上に渡る泰平をもたらしたというのだ。
「日本にな」
「だからでありますか」
「主な町には奉行所、そしてそれぞれの直轄地に代官所も置き」
 そしてというのだ。
「それぞれの国人や大名達は藩のだ」
「主にするな」
 幸正も言ってきた。
「そうだな」
「藩主にな」
「それで藩を治めさせるな」
「藩は藩で治める仕組みを整させる、そして藩に対しては」
 英雄はさらに話した。
「江戸幕府は徹底した分権だったが」
「それはしないか」
「あそこまではしない、戦は力を一つにしてこそだ」
「だからだな」
「兵は預けないしだ」
 それにと言うのだった。
「年貢もこちらでな」
「勢力全体でだな」
「していく、武士への俸禄もこちらが出す」
 幕府がというのだ。
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