第99話 姉妹 中編
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壁際から日の光が差し込む確認した私は朝を迎えたことに気づいた。
真悠は話疲れたのか傷が痛むのか分からないが、黙っていった。
私も疲れと傷の痛みで口数が減っていた。
それから暫くしない内に、正宗様が私達の居る場所に駆け込んで来た。
「揚羽、大丈夫か!」
その後、息切れしながら風が現れたが、その場に膝と手を着いていた。
「ぜぇ、ぜぇぇ・・・・・・。正宗様、もう少しゆっくり・・・・・・走ってくださいのです〜」
正宗様は風の言葉を無視して、私の元に駆け寄って来た。
「揚羽じっとしていろよ。今、傷を治療するからな」
正宗様は私にそう言うと、彼の手が私の腰から足の方に向かって触ってきた。
少し恥ずかしく感じたが治療と思い我慢した。
正宗様に傷の治療をしていただくのはこれが初めてだ。
私は負傷した兵士達を治療される様子を見ていたが、体験してみて気づいたことがある。
これは湯浴みするより、気持ちいい。
正宗様の手が触れる部分を中心にとても暖かく心地よい。
そして、体中から疲れが抜けていき、逆に力がみなぎってくる。
気がつくと、治療前まで感じていた激痛が無くなっていることに気づいた。
これなら、正宗様に付き従う兵士達の士気が上がるはずだ。
負傷や死は兵士にとって恐怖を抱かせるものでしかない。
逆に、それを利用して士気を上げることもできるが、それを可能にするには実戦慣れした練度の高い兵士が必要になる。
黄巾の乱の折、皇帝陛下が正宗様に与えた兵士は農民兵と新兵ばかりの弱兵の寄せ集めが主力の軍だった。
戦力となる兵士は先発隊が連れていったのだから、仕方がない話だが・・・・・・。
正宗様はあの陣容でよく冀州の黄巾賊主力を打ち破ったといえる。
以前、正宗様は腕をもがれても、その腕があれば繋ぐことができると言っていた。
これは正宗様が死人でない限り、粗方の傷を治療できるということだ。
正宗様は戦場に出る兵士達の恐怖を全て消すことはできないが、その気持ちを緩和してやることはできる。
彼の治療を受け強く実感した。
死を恐れず敵に立ち向かう兵士は最悪の脅威となる。
しかし、負傷を恐れず敵に立ち向かう兵士もまた脅威となる。
そのお陰と正宗様の武力が合わさって、弱兵を使い物になるようにできたのだろう。
冥琳殿の話では道すがら練兵をやっていったという話だが、それだけで上手くいくものではない。
正宗様の威光があったお陰だと思う。
とは言え、それを頼みに天下を取れるとは思っていない。
如何に、正宗様が凄かろうと、今後、兵数が増えれば、その力を十分に発揮することなどできない。
一軍の将は最
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