第43節「遥か彼方、星が音楽となった…かの日」
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フォギアにて全身を保護し、ネフィリムを貫通する真っ向勝負だった。
『うおおおおおおおおおッ!!』
〈Vitalization〉
その技名の意は『自分の解放』。この場に揃う全員が、自らを偽ることなく、生まれたままの心をさらけ出しながら咆哮する。
手を取り合った10人の裂帛の叫び。束ねられた70億の奇跡は遂に、ネフィリムの体を貫いた。
その勢いのままゲートを飛び出し、地球へと戻ってくる装者達。
束ねたエクスドライブのエネルギーを取り込んだネフィリム・ノヴァは、その時点で臨界に到達。
赤熱化したその巨躯を保つことが出来ずに、自壊を始めていた。
だが、装者達もまた、接触の際にエネルギーのほとんど全てをネフィリム・ノヴァに暴食され、ギアの維持すらままならない状態まで追い込まれていた。
ボロボロに砕けたギア。立つこともままならない身体。
目の前の砂浜に刺さるソロモンの杖。そして、間もなく爆発するネフィリムと、開きっぱなしのゲート。
「くッ……杖が……ッ! すぐにゲートを閉じなければ、間もなくネフィリムの爆発が……ッ!」
「だが、体が、もう……ッ!」
「ここまで、なのかよ……ッ!」
マリアが、ツェルトが、奏が、声も出せない程に疲弊した調と切歌が諦めかけた、その時だった。
「まだ、だ……」
「ああ……もう一人……」
「心強い仲間は他にも……」
「仲間……?」
クリスの、純の、翼の言葉に首を傾げるマリア。
見上げる地平の向こう、こちらへと向かってくる人影を見ながら、翔と響は呟いた。
「ずっと俺達を見守ってくれていた……」
「わたしの、親友だよ……」
二人の視線の先から全速力で走って来るのは……響の親友、小日向未来だった。
(ギアだけが戦う力じゃないって、響と翔くんが教えてくれた。──わたしだって、戦うんだッ!)
足場の悪い砂浜で、転びそうになりながらも走り続ける未来。
そして、未来は遂にソロモンの杖をその手に掴む。
「お願いッ! 閉じてえええええええええッ!!」
ゲートに向かって真っすぐに、ソロモンの杖を投げる未来。
同じタイミングで、体の真ん中に大穴を空けたネフィリムの体が光り始める。
「もう皆が──誰もが戦わなくていいような世界にいいいぃぃぃッ!!」
爆発するネフィリム。
ノイズ達を巻き込み、地球に迫る爆風。
その場の全員が息を呑んで見守る中、未来の願いを乗せて飛んだソロモンの杖は、真っ直ぐにゲートへと突き進んでいき──
そして、爆風が届く直前、ほんの刹那の一瞬、紙一重のタイミングで杖はゲートに吸い込まれ、次元間隔壁は完全に閉じられた。
──そう。遂に地球は、極大災厄による脅威から救われたのだ。
「──
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