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曇天に哭く修羅
第三部
主義主張 5
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ン》】のことを明かした。だから俺も教えてやる。この能力は【融解】だ。さっき使えるようになった」


血液に概念を溶かす力を付与し、思うがままに操ることが出来る。


「反撃させてもらおうか」


右の肺に穴を空けられ動きが鈍る瞬崩に対し紫闇は容赦せず叩きのめす。

あっという間に血達磨。

肌の色を探す方が難しい。

そこまで出血させられる。


「【神が参る者(イレギュラーワン)】、その中でも特別なやつだというのは承知しとった。じゃが、それを考慮しても、どうしてこれ程までにやられるか!?」


瞬崩の、《佐々木青獅》の師である《流永》は何故こうなったのか解らない。


「人は何かを捨てながら前へ進む。捨てたものは自分を形成し支えてくれたものだということを忘れながら。人は何かを捨てることでしか前に進めないくせに捨てるほど弱くなっていく」


《黒鋼焔》が流永に語り出す。


「矛盾してるけど何か捨てないと前に進めないのが人間という存在。だから本当に大事なものは捨てずに取っておくべきだと思う」


それは誰かとの繋がりだったり貫きたい信念なのかもしれないが、青獅と流永はそれ等すらも捨てて前に進み(から)になった。


流永(あなた)という『器』はあたしの祖父、弥以覇を超えていたのかもしれない。けど器の中に入れておくべきものまで捨てたせいで中身は空っぽだったから負けたんじゃないかな」


流永は客席の手すりを握り締めて震え、叫びそうになるほど感情的になっていたが、何も焔に言い返すことが出来なかった。

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