第五十九話 先輩と神戸でその十四
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私は三年生になった時に彼と会った時のことからこれまでのことを思い出してそうして先輩に答えました。
「別に」
「ちっち自身はそうなのね」
「全く思えないです」
「それはおいおいわかるかもね」
「そうですか」
「あの子は絶対にちっちにとってかけがえのない人になるわ」
「絶対に、ですか」
それもかけがえのない人にとのことです。
「そうなんですね」
「そうよ、だからね」
「それで、ですか」
「大事にしてね、彼のこと」
「後輩の子としてですか」
「今はそれでいいわ、とにかくね」
先輩は私にさらにお話してくれました。
「ちっちはあの子を大事にしないと駄目よ」
「そうですか」
「誰に対しても優しく。間違っても酷いことはしない」
また一瞬ですが先輩のお顔が曇りました、本当に過去のことが今も先輩を後悔させて苦しめているのがわかりました。
「いいわね」
「そのことは絶対ですよね」
「ええ、後悔するかしなかったら」
「その場合は」
「人としておかしいから」
「後悔しなかったらもっと駄目ですね」
「そうよ、とにかく酷いことはね」
先輩は私に悲しい顔でお話してくれました。
「ちっちはしないでね」
「阿波野君にもですね」
「あの子は本当にちっちにとってかけがえのない人になるから」
だからというのです。
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