第八話「新たな同居人?」
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見回している。
「……あの、すみません!」
「ッ!?」
俺の一声に、目の前の青年はびっくりして慌てながらこちらへ振り向いた。
「な、なんだよ――ビックリするじゃねぇか」
「いえ……その、御参拝の方ですか?」
「あ、ああ――そうだ!」
何やら様子がおかしい。おかしすぎる。俺は気になったしつこく尋ねた。
「本当ですか?」
「んだよ! 別に俺は……」
「じゃあ、なんで賽銭箱の周りを?」
「え! ちょ、そ、それは……えっと――物を落としたんだ!」
「それは大変ですね。でしたら一緒にお探しするのを手伝います」
と、真に受けた朱鳥が喋ってきた。
「い、いいよ! 別に大丈夫だから……」
「それはいけません。境内で起こったトラブルは解決しないと――」
そういう朱鳥の気遣いが、青年をさらに焦らせる。
「……」
しばし、間を置いた青年は白状したかと思ったのだが――
「あぁ! あれなんだぁ!?」
「「!?」」
ショッカーか! そんな予感ですぐさま青年の指をさした方向へ振り返った途端、境内の石畳を全速力で突っ走って逃げようとする青年の姿が!
「って逃がすかぁ!」
地響きを上げるがごとく俺は境内を突っ走って青年へ追いつこうとする。
「は、早ッ!」
やせた自分よりも太った人間が、あそこまで走れるか普通!?
「てぃ!」
と、青年のこしにとびかかって境内の地面へ押さえつけることに成功。
……結果、青年は野垂死ぬか否かの瀬戸際という状況下の中で生きるために賽銭泥棒を働こうとしたとのこと。
「――そんで、これが理由?」
俺が問うと、むすっと不愛想に青年は頷いた。見る限り俺たちよりも年上の成人だとおもうけど――
「……えっと、お兄さん名前は?」
次に俺は彼の名を訪ねた。これでも身元引受人がいるかもしれないと思って一様訊ねたのだ。
青年は、しばらく間をおいてからしぶしぶと名乗った。
「乾――乾巧」
「ふーん……」
その名を聞いた途端、俺は真顔で立ち上がると台所の電話へ直行。
「もしもーし、警察ですかー?」
「って待てよ! ちょっ待てよ!!」
焦った青年こと巧は後から立ち上がって必死に止めに入った。
「頼むから警察だけにはやめてくれって……!」
「いやでも、一様未遂とはいえ犯罪だし」
「だから悪かったって! 頼むから警察には通報しないでくれよ!?」
「つってもなぁ……」
そう、腕を組んで唸る俺に、
「雷羽君」
と、朱鳥。つーか、名前で呼ばれるとこういう時でもドキッとしてしまう。
「ん、なに?」
「賽銭箱のお金が盗られずに済んだことですし、許してあげましょう」
「うぅん――」
そういうと、再び俺はこの乾巧
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