第八話「新たな同居人?」
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イダー」の面影とそっくりだな。奴と同じ目で私を睨んでいる――』
面白そうだと、不敵な笑みを浮かべた高見沢はスッとこちらへ背を向けだした。
『では……この話、無かったことに。今度会うときは敵か味方か――いずれにせよ、それまでの間に君が誰かに蹴り落とされていないことを願うよ』
そう言い残して、高見沢は元来た石段を下りていった。
そして今、高見沢との遭遇を終えた彼は境内の掃き掃除を終えて、昼休みに休憩室の和室で湯のみを片手にぼんやりと、しかし先ほどのやり取りを何度も思い返していた。
『人はみんなライダーなんだよ!』
――みんなライダー、か……
確かに、あとで思い返してみれば俺自身もこの世界に対しては不満が山ほどある。それでこの世界を守るために命を張って戦えるか? と言われれば疑問だった。
「九豪君」
「……」
「九豪君ってばっ」
「雷羽君!」
「うわっ!」
とたん下の名前を朱鳥から呼ばれたことにびっくりして、俺はひっくりかえりそうになった。
「んもう――どうしたんですか?」
「ああ、別に何でもねぇよ」
「あの、実はですね」
「ん?」
「――その、お互いこれからも一緒に戦うかもしれないし、同居もしていますしで……名前の呼び方も、下の名前で呼んでもよろしいですか?」
体をモジモジさせながらそう恥ずかしそうに言ってくる朱鳥に、俺もドキッとした。
「あ、ああ――別にいいぞ?」
「じゃあ……雷羽君っ」
「あ、朱鳥――ちゃん?」
「朱鳥ってよんでください!」
それだけはこだわるのか、少しムキになった感じで頬をふくらます朱鳥に、俺は改めて言った。
「あ、朱鳥」
「はい、雷羽君」
「「……」」
途端、お互いそっぽを振り向きながら顔を赤くし合った。
――何なんだよ、この空気!
気まずい、圧倒的に気まずい。この気まずさをどうにかせねばならないのに、思考回路はショート寸前で今すぐどうにかなっちまいそうだ――
「――って、あれ?」
しかし、そんな状況を打ち破る光景が目の前の境内から飛び込んできた。
黒い服を着た、青年が賽銭箱の周りで何かしている……
「お、おい朱鳥」
名前の呼び方なんて忘れた俺は、とっさに彼女へ声をかけた。
「どうしました? 雷羽君」
「あれ、あれだよ!」
「あっ――」
朱鳥も、此方の休憩室から見える境内の様子を見てびっくりした表情をする。
「あれって……紛れもなく」
――賽銭泥棒だ!
俺は物騒だと怖がる朱鳥を前にその場から立ち上がって、その賽銭泥棒らしき青年へ声を駆け社務所から出た。後から朱鳥もついてくる。
近づくこちら側に賽銭泥棒の青年は気づくことなく夢中で腰をかがめながら賽銭箱の周辺を
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