第九十四話 負け戦を見据えその五
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「あの御仁達が」
「尼子家の一門のな」
「あの御仁達がおられるので」
「それでじゃ」
だからだというのだ。
「到底な」
「攻めるにしても」
「力技だけではな」
到底というのだ。
「攻め落とせぬ」
「左様ですな」
「だからじゃ」
それ故にというのだ。
「この度はじゃ」
「殿は言われたのですな」
「然るべき城を攻め落とせば」
それでというのだ。
「よしとしてな」
「兵を退けるべきと」
「大内殿にもお話した」
そうしたというのだ。
「この度は」
「そうですか」
「そうであったが」
それでもというのだ。
「知っての通りじゃ」
「陶殿があくまで」
「そう言われてな」
月山富田城まで攻めるべきと、というのだ。
「それが通った」
「では、ですな」
「負け戦は避けられぬ」
「それは」
「どうしてもですな」
「無謀に過ぎるが」
それでもというのだ。
「陶殿はやはり大内家の重臣の中の重臣じゃ」
「長く大内家にお仕えした家の肩で」
「その直系しかもご嫡男」
「尚且つ大内殿のご寵愛を受けておられる」
「それならば」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「あの御仁のお言葉がな」
「通りますな」
「どうしても」
「そうなりますな」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「わしは前からそう言っておったがな」
「それが、ですな」
「実際となり」
「大内家は敗れる」
「そうなるますか」
「敗れても大内家は滅びぬ」
それはないというのだ。
「それはな」
「しかしですか」
「それでもですか」
「状況は変わる」
これはというのだ。
「やはりな」
「大内家は敗れ」
「それで、ですか」
「状況は変わる」
「どうしても」
「それはな」
絶対にというのだ。
「大内家は領土は減らさずとも」
「それでもですか」
「変わるものは変わりますか」
「どうしても」
「左様、大内家は動かなくなる」
そうなるというのだ。
「この戦以後な」
「そうなりますか」
「戦をせぬと」
「そうなりますか」
「左様、大内殿は戦を好まれぬ」
義隆、彼はというのだ。
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