黒魔導士と妖精軍師
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ゼレフの肉体目掛けて真っ直ぐに動く中・・・
ザシュッ
1人の少女が、間に割って入っていた。
「かはっ・・・」
口から吐血する少女。その少女をよく知るゼレフと妖精の尻尾の魔導士たちは、目を見開いていた。
「ほう・・・いつの間にここまで来てたんだ?」
実力者である自身でさえも気付けないほど気配を消していた少女を見て、天海は感心していた。だが、それも今となっては意味もないものだと知っている彼からすれば、すぐに興味が失せてしまうものでもある。
「・・・ごめんなさい・・・ゼレフ・・・」
「なんで・・・君が謝るんだい?メイビス」
自分を守ろうとして行動に出た少女の言葉に彼はそう答える。口から血液が流れ出る彼女は、目から涙を溢していた。
「私はあなたに死んでほしくなくて・・・ずっとあなたを愛していたのに・・・」
彼女の涙が彼の体に降り注ぐ。その彼女の体を貫いている男の腕は、地に伏せる青年の腹部も完全に貫いていた。
「私はあなたを守れなかった・・・」
ゆっくりと2人から腕を引き抜く天海。支えを失ったメイビスは、ゼレフに力なく覆い被さる。
「謝るのは僕の方だ・・・僕が原因を作り・・・誰も守ることすらできなかった・・・」
涙と血で汚れた彼女の顔に手を当てる。2人は先ほどの妖精の尻尾のギルドでの出来事と今の状況を照らし合わせていた。
「いいのかな・・・僕みたいな人間が・・・こんな終わり方ができて・・・」
「いいんです・・・オーガストもきっとそれを願っています」
彼らにかけられたとされる矛盾の呪い・・・それは人の命を愛おしく思えば思うほどにそれを奪っていく。だがそれは、不死なる2人を解放する唯一の方法とも言える。
「あぁ・・・そういえば、君たちには大事なことを言わなきゃいけなかったね」
2人の愛が頂点に達し、その肉体ごと消滅しようとしていた時、突然ティオスが口を開いた。
「君たちがかけられたって言う"矛盾の呪い"。残念だけど、そんなものは始めからこの世になかったんだよ」
「よせ!!レオン!!」
ことの真相をシリルから聞かされていたナツが彼の言葉を遮ろうとする。しかし、天海に一睨みされた瞬間、あまりの恐怖に声すら出せなくなっていた。
「どういうことだ?ティオス」
「矛盾の呪い・・・それは生と死を司るアンクセラムの怒りに触れた時にかけられると言われている。だが、ここで大きな問題が起きる」
「大きな問題?」
「そう!!それは魔力がない人間がそ
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