黒魔導士と妖精軍師
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・ティオスを止められるのは自分しかいないと考えたのだ。
だがそれは天海も同じ。自分の求める最高の好敵手。それはティオス以外にこの世界をどれだけ探そうとも巡り会えることはない。それがわかっているから、この場は自分が出てきた。
「お前に俺を倒す術はあるのか?」
「難しいね。でも・・・」
黒い球体を作り出しそれを投じるゼレフ。天海はそれを何事もなかったかのように弾き飛ばしていた。
「僕がこの戦争を始めたきっかけだ・・・僕がケジメをつけなければならないよね」
そう言った彼の目に、迷いはなかった。天海は彼の意思を見定めていたのか、それを聞くと集中力をさらに高めていく。
ダッ
両者ともに全く同じタイミングで飛び出す。しかし、それはあまりにも実力に差がありすぎた。
ガンッ
「ぐっ!!」
敵の懐に理想的な形で入ったのは天海。彼はゼレフにアッパーパンチを食らわせ、その体を宙に浮かせる。
「この大陸最恐の黒魔導士ゼレフ・・・か」
体が浮いているため身動きが取れない青年の頬目掛けて回し蹴りを打ち込む。上から斜め下へと打ち落とされた敵に、全く反撃の余地を与えることはしない。
「お前程度の実力の人間なら、俺たちはいくらでも葬り去ってきた」
地面に叩きつけられたタイミングでさらに上からの踵落とし。わずかな反発によりそのダメージは増してゼレフに襲い掛かる。
「魔法があろうかなかろうが、武器を持っていようが罠を多く仕掛けた城を持っていようが関係ない。そいつが持っている実力・・・それこそが勝負を決するんだ」
一瞬の隙も与えることもなく次々にゼレフに攻撃を加えていく天海。あまりの猛攻にゼレフは反撃することも、回避することすら許されない。
「お前にはその実力も、王としての器もなかったようだな」
敵を再び宙に打ち上げ、今度は脇腹に蹴りを放つ。
「がはっ!!」
その威力は絶大で、ゼレフの肋から聞こえてはいけない音が響き渡った。
地面を削りようやく止まるゼレフ。彼のその呼吸は、あまりにも弱く・・・今にも事切れそうになっている。
「終わりだな、スプリガン」
彼の前に立ち見下ろす天海。ナツとの戦いで魔力も使いきり、怪我も負っているゼレフ。しかし、それを差し引いても、天海の力は圧倒的だった。伝説の黒魔導士を、反撃の余地も与えず叩き潰したのだから。
「天海・・・もう一度だけ言わせてほしい」
「何度言おうが結果は同じだ」
起き上がる力もないゼレフに拳を構える天海。彼が何をしようとしているのか見ていた全員が気付いた。それを阻止しようと走り出すものもいたが、それが間に合うことなど絶対にありえない。
右腕を引き、全身のバネを使い放たれた拳。それは
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