黒魔導士と妖精軍師
[3/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
自分たちの前に現れたその人物を見ても、天海とティオスに焦りは見られない。それどころか、警戒心の欠片も感じられないのである。
「2人とも・・・もうやめにしないか?」
「この戦いをかい?」
「そうだ」
ゼレフの言葉に対し天海は眉間にシワを寄せる。確実に不服な態度を隠すこともしない彼を見たゼレフは、小さくうなずき言葉を紡ぐ。
「僕たちがもっとも脅威としていたアクノロギアは死んだ。これ以上、戦う意味がないんだよ」
ティオスと天海・・・最強のコンビによってその最強の伝説が終わりを告げたアクノロギア。ゼレフが妖精の心臓を手にいれようとしたのは、過去に戻り力を付ける前のアクノロギアを倒すため。だが、この時代においてそれが成し遂げられたことにより、これ以上何かを成す必要がなくなったのだ。
「君たちのおかげで僕の目的は果たせた。だからもういいんだよ、2人とも」
諭すような声で2人を宥めるゼレフ。その言葉を聞いた彼らは目を合わせると、失笑を浮かべていた。
「スプリガン、あいにくそれは俺たちには関係ない」
「そう、俺たちは始めから君たち全員を殺すことを目的にしてるんだから」
彼らは元々ゼレフの命によって動いていたわけではない。ティオスは神になるために、天海はただ強いものと戦うために生きている。そのための足掛かりにアルバレスに攻め入り、ゼレフに取り入りイシュガルに攻めてきた。
それゆえに、ゼレフの目的が果たされ、戦う意味がなくなろうとも関係ない。自分たちの目的のために動くだけなのだから。
「そうか・・・なら仕方ない」
2人の回答がこうなることはおおよそわかっていた。ゼレフは最後の意思の確認として声をかけた。案の定断られてしまった彼は、魔力を解放し、2人を見据える。
「僕が相手をしよう」
鋭い目付きで2人を睨み付けるゼレフ。それを受けティオスも臨戦モードに入ろうとしたが、隣にいる男に制止されてしまう。
「ティオス、下がっていろ」
そう言ってティオスをその場に留めさせ前に出てきた天海。彼が1人で戦うことを察したティオスは、小さく笑みを浮かべた。
「あぁ。任せるよ、天海」
先ほどまでの戦いで魔力も肉体も疲労しつつあったティオス。それに気を使った形になった天海。彼はゼレフを見据えると、先ほどと同様に殺気を高めていく。
「僕が魔法を教えたんだから、ティオスと戦っておきたかったなぁ」
「悪いな、俺も寝てたせいで体が冷めてる。奴との戦いの前に温めておかなくてはな」
かつてレオンの才能を見抜き、氷の滅神魔法を教えたゼレフ。彼はその時のことを覚えていた。そのため、ティオスがアルバレスに攻めてきた時に真っ先に彼に気づき、仲間に引き入れた。だからなのだろう・・
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ