TURN44 インド独立その十二
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「だからこそ」
「ではモントゴメリー提督には私が」
「お願いします。そしてドクツ軍の動きですが」
「何かおかしいよ」
せーラの玉座の左隣に立っていたマリーが言ってきた。
「またロンドンに攻撃を仕掛けてくると思ったけれど」
「ないわね」
「どうやら東に戦力を集結させているみたいだね」
「ええ。それじゃあ」
「ソビエトとの開戦かな」
「そう思うわ。レーティア=アドルフは著書の中で東方生存権について言及していたから」
戦いはまず敵を知ってからだ。セーラはこの鉄則からレーティアの著書を読み知っていたのだ。
「いよいよね」
「ソビエトに攻め込むの」
「西には最低限の守りしか置いていないわね」
「じゃあ今から攻める?」
「いえ、それは」
出来ない、そうした返事だった。実際に首を横に振るセーラだった。
「今の状況では」
「無理なのね」
「インドまで失いスエズも危機的な状況にある」
それならばだった。
「しかも先のロンドン攻防で戦力をかなり消耗したままだから」
「反撃は無理なのね」
「今は戦力の回復、そして維持で精一杯よ」
これがエイリスの現状だった。
「我慢するしかないわ」
「ううん、辛いね」
「エイリスはインドまでも失い」
セーラは唇を噛んだ。その整った唇を内側から。
「世界帝国ではなくなろうとしている」
「まさか。インドまで失うなんて」
「これ以上失うことは許されない状況なのよ」
このことはセーラ自身が最もよくわかっていた。他ならぬエイリス女王である彼女が。
「迂闊なこともできないわ」
「そうですね。今は」
イギリス妹も沈痛な面持ちで述べる。
「冒険はできません」
「それ故に」
セーラは何とか顔を上げたまま言う。
「今は守りに徹します」
「反撃の時は絶対に来るわ」
エルザがセーラの右から言う。
「それまで待ちましょう」
「はい、今は」
「機を見るのも戦争よ」
「そのうえで、ですね」
「機を見つけたら」
まさにその時はだというのだ。
「いいわね」
「わかりました。それでは」
セーラ、そしてエイリスの苦境は続いていた。エイリスは世界帝国の座から遂に降りることが決まってしまった。
だがそれに対して独立を果たしたインドはインドカレーにおいて日本を握手した。そのうえでこう言うのだった。
「これからはたい」
「アジアの一員ですね。インドさんも」
「僕も戦うたい」
微笑んでの言葉だった。
「日本君達と一緒に」
「そうして頂けます」
「中立というのは好きじゃないたい」
特にこの場合はだというのだ。
「一緒に戦いたいよ」
「有り難うございます。インドさんも加われば有り難いです」
「それで次はどうするたい?」
「インド洋を完全に掌握
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