イグナイトモジュール
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「もうやめよう。悲しいだけだよ」
少女の前に落とされた、紫の懐中時計を拾い上げながら、響は言った。
「貴女は許されないことをした。でも、これ以上はもう止めにしよう?」
「うるさい……黙れ!」
それでも、アナザーウィザードの正体の少女は、響の足にしがみつく。
「返せ……! 私の力を……返せ!」
彼女の凄まじい形相に、響は押し黙るしかなかった。
「うわっ!」
イグナイトの黒いボディ。当然、生身の人間相手に遅れを取る道理などない。
にも関わらず、どうして彼女の体を突き飛ばすことさえできないのか。首を締め付け、顔を肉薄してくる少女に、響は動きを封じられていた。
「私の力……私とユッキーをつなげる、私たちの希望!」
「希望……?」
「私の希望を奪うな! お前の呪われたような力で、私の希望に触るな!」
呪われた。
その言葉を聞いた瞬間、響の体がフリーズした。目からハイライトがなくなり、完全に硬直する。
そんな隙を、アナザーウィザードの正体の少女が見逃すはずはなかった。響の手よりウィザードの時計を奪い取り、響が「あ!」と声を上げる前に、離れた。
「アサシン!」
即座に、少女は右手を掲げる。その手に刻まれた、フクロウのようなカラスのようなエンブレム___令呪が、黒い光を放つ。
「令呪を持って命ずる!」
聖杯戦争における、絶対命令権。三回のみの権利の内一回が、この場で行使された。
「殺して! 私とユッキーを邪魔する奴を、皆! 皆殺して!」
アサシン。彼女の、漆黒のサーヴァントを脳裏に浮かべた瞬間、天井が割れた。
「葬る!」
アサシン。イグナイトのシンフォギアと等しく、黒いサーヴァントが、響へ刀を振り下ろした。ガントレットでガードした瞬間、少女が走り去っていく。
「待って!」
「任せろ!」
響の声に、ビーストが駆け出した。少女を追いかけて、奥の通路より先へ消えていく。
「え? ちょ、ちょっと! チノちゃんたちは?」
響の心配を形にするように、復活した『12th』が、チノとマヤににじり寄っていく。
だが。
「太阿之剣!」
その『12th』を、赤い閃光が斬り裂いた。爆発した中から現れたのは、ボロボロの可奈美だった。
「可奈美ちゃん!」
「響ちゃん! ……なんか、結構禍々しい姿だね……」
「イグナイトのことは気にしないで!」
響はアサシンを蹴り飛ばしながら言った。
「可奈美ちゃん……どうしてここに?」
「響ちゃんこそ。私は、ガルちゃんに連れてこられて」
可奈美の背後から、赤いプラスチックでできたらしき鳥が顔を覗かせた。可奈美と同じくボロボロの姿で、甲高い声を発してい
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