大好きな君へ 〜後編〜 (風鳴翔誕生日回)
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たな……。
太陽みたいに眩しい、響の笑顔。
この笑顔を、俺はこれからも守っていくんだ。
響に「木陰」と呼ばれたんだ。
何があっても、守り抜いてみせる……。
なんて考えてたら、切り分けられたケーキが渡された。
それを受け取るなり、響が思い付いたように呟く。
「もー……こうなったら!はい、翔くんあ〜ん」
「ん、あ〜……ッ!?響、これは──」
「わたしばっかり恥ずかしい思いさせられるの、不公平だもん。だから翔くんも……少しくらい恥ずかしがってよ……」
……………………なあ。俺の恋人、可愛いが過ぎないか?
可愛すぎてこっちも恥ずかしくなってくるじゃないかッ!
それは反則だぞ響ッ!?
「ほら、あ〜ん……」
切り分けたケーキを俺の口へと向ける響。
恥ずかしいが、響の恋人として応えない訳にもいくまい。
俺は顔を火照らせながら、ゆっくりと口を開ける。
「あ……あ〜……ん、んむ……美味いッ!」
舌の上に、チョコレートの甘さとイチゴの甘酸っぱさが広がる。
初めてにしては上出来だ。来年には形もクリア出来るよう、今度は俺も一緒に作ってみようかな?
……などと考えている間に、口の中のケーキは直ぐに腹の中へ消えてしまった。
むぅ……これは物足りない……。
「響……その……もう一度、あーんをお願いしたいんだけど……」
「ふぇえっ!?も、もう一回!?」
「頼む。もう一度だけ……」
「も〜……しょうがないなぁ。ほら、あ〜ん」
お互い耳まで真っ赤になって、人目も気にせずこういう事をする。
俗に言うバカップル、のようだとは思うが……悪くは無い。
この幸せをケーキと一緒に噛み締めるのに、響から食べさせてもらうこの瞬間は、一瞬のようでいて、永遠にすら感じる。
そういえば、再来月の13日は響の誕生日か……。
今度は俺から、祝ってあげないとな。
こうして7月5日、風鳴翔の誕生日は緩やかに過ぎていった。
翔が初めて恋人と共に過ごす誕生日。
翌年は果たして、どんな誕生日になっているのか……。それはまだ、神様さえ知らない物語である。
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