大好きな君へ 〜後編〜 (風鳴翔誕生日回)
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なく、子どもっぽくはしゃいでいるようなその姿に、響の胸はときめく。
(翔くん……わたしのケーキ、そんなに楽しみなんだ……)
大好きな人が、自分から贈られる物を楽しみに待っている。
その事実だけで、響の足は自然と前へと進んでいた。
「翔くん!はい、これ……」
目の前のテーブルに箱を置くと、響はそれをゆっくりと開き、中のケーキを取りだした。
中に入っていたのはチョコレートケーキ。
チョコを練りこんだスポンジに、たっぷりのチョコクリーム。その上にイチゴと、二切れのオレンジが並べられている。
形は……少々歪だったが、そこに響の努力の跡を垣間見た。
「チョコレートケーキ……響が作ったのか?」
「うん……。ちょっと失敗しちゃったけど、味の方は多分大丈夫だからッ!」
「響が……俺の為に……」
「……その、未来や純くんみたいには──ふぇっ!?」
気付けば俺は、響を抱き締めていた。
響が俺の為に作ってくれたという事実が、ただただ嬉しくて、こんなに健気な恋人が愛おしかった。
「響、ありがとう」
「いや、でも……」
「響が俺の為にって、頑張って作ってくれたんだ。これほど嬉しいことがあるか?」
「ん゛ん゛ッ!?」
響が目を白黒させているが、かまうものか。
俺の感謝の気持ちを、こうしてダイレクトに伝えてやる。
「こらこら翔、立花が困っているだろう?」
「ったく、そーいうことは家でやれッ!」
と、そこへ何やら微笑んでいる姉さんと、呆れ顔の雪音がやってきた。
そういや、あんまりイチャイチャしてると、ケーキのクリームが溶けてしまうな。
仕方ない、続きは帰ってからにしよう。
「ほら、ローソク立てるよ」
「切り分けるのはわたしがやるから、響は翔くんの隣で待っててね」
「翔くん、写真撮るからそこに立ってくれる?」
「ジュース注ぐよ〜」
友里がカメラを構え、藤尭がジュースを追加していく。
響は翔の隣に座りながら、申し訳なさそうに呟いた。
「でも、ごめんね翔くん。プレゼントまでは用意できなくて……」
「何言ってるんだ、響」
「え……?」
「君と一緒に居られるなら、俺にはそれで十分だよ」
直後、響の顔が一瞬で真っ赤になった。
「も……もーっ!もーっ!どうして翔はそういうことサラッと言っちゃうかなぁ!?」
「いたた……だ、ダメなのか?」
「そんなの……ズルいよぉ……もう……」
うん。顔真っ赤にして俺をポカポカしてくる響、この上ないくらい可愛いな!!
まったく、今年の誕生日は最高だ……。
いや待て、この先も俺の誕生日を祝ってくれる人達の中には響がいるって事だよな?
……毎年この顔を拝めるなんて、あの頃は想像もしてなかっ
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