大好きな君へ 〜後編〜 (風鳴翔誕生日回)
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「響? 何処へ連れて行こうとしてるんだ?」
「いいからいいから〜」
本部に着くなり、響にアイマスクで目隠しされた翔は、彼女に手を引かれていた。
「着いたよ〜。さあ、目隠しを外してみてッ!」
響は翔を食堂まで連れて来ると、アイマスクを外す。
その瞬間、食堂に待機していた全員がクラッカーの紐を引いた。
「翔くんッ!」
「翔……」
「翔ッ!」
『誕生日おめでとうッ!!』
皆に名前を呼ばれ、口々に祝いの言葉を述べられる。
「ああ、そう言えば今日、俺の誕生日だっけ?」
「色々忙しくて、忘れてたみたいだから……。いっそ、サプライズにしちゃおうって決めてたんだ〜!」
「料理は純くんや緒川さん、藤尭さん達が作ってくれたんだよ」
「小日向さんだって作ってたじゃないか」
「そうだぞ。もっと胸張りやがれっての」
「未来のご飯は美味しいんだよ〜。味はわたしが保証するからッ!」
「みんな……。ありがとう」
自分の為に頑張ってくれた皆に、翔は思わず頬を緩ませる。
翼はそんな弟と、そして響の背中を押した。
「さあ、パーティーの始まりだ。心ゆくまで楽しむといい」
「ほらほら、好きなの取っていいから〜」
「おう、それならまずは──」
響が居るのを考慮してか、多めに用意されたおにぎり。
サイズを小さめにしつつ、味をギュッと濃縮したミニハンバーグ。
翔の得意料理にして、好物のひとつでもある鶏の唐揚げ。
おにぎりがあると知った緒川が気を回して用意した豚汁に、藤尭が朝から仕込んでいたポテトサラダなどなど……。
各々が丹精込めて作った料理が、次々と減っていく。
主役の翔は満足気に、隣に座る響と二人で舌鼓を打っていた。
そして、いよいよケーキが登場する頃になって──
「響、大丈夫だよ」
「翔ならきっと、喜んでくれるさ」
「うぅ……心配だよぉ……」
響は冷蔵庫から、ケーキの入った箱を取り出す。
この日の為に未来や純に手伝われながら、何度も練習を重ねて用意した手作りケーキだ。
前日、遂に自分一人でチャレンジした本番用ケーキ。多少、不格好になってしまったが、焦げてはいない。
教えた2人は響を励ますと、その肩を叩いて送り出した。
「ほら、翔くん待ってるよ?」
「早く行かないと、クリームが溶け始めちゃうよ?」
「大丈夫だよ、お前が頑張ったってことは、あいつにも絶対伝わる。これで文句言おうもんなら、あたしがぶっ飛ばしてやるよ」
「私の弟はそんな甲斐性なしではない。あとは立花、お前次第だ」
「未来……みんな……」
響はすう、と深呼吸すると、座って待っている翔の方を見た。
翔の様子は何処か落ち着きがなく、そわそわとしていた。
いつもの冷静な翔では
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