第百六十一話 新兵器その五
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「泥鰌料理自体が」
「そうだな」
「この伊勢でも」
「泥鰌はないな」
「そうですね」
こう英雄に話した。
「ありません」
「食わないな」
「本当に西では」
「この浮島でもな」
起きた時の日本と同じくというのだ。
「そうだからな」
「そうした食べものもありますね」
「そうだな」
「そういえば東では」
謙二はさらに言った。
「鱧を食べないです」
「あの魚をな」
「はい、それが」
「ああ、鱧ね」
桜子はその魚の名前を聞いてこう言った。
「ちょっとね」
「そちらではだな」
「食わないね」
実際にというのだ。
「本当に」
「そうだな」
「あの魚の顔は怖いね」
「だがな」
「美味いね」
「小骨は多いがな」
これが鱧の難点だ、その為この魚を食べるには骨切りの技術がどうしても必要になるのだ。食べるのに難しい魚と言える。
「しかしな」
「それでもね」
「美味いことはな」
「確かだね、あたしもね」
「食って思ったな」
「鱧は美味いよ」
味を知っている者の返事だった、今のそれは。
「本当にね」
「そうだ、だがな」
「こっちではね」
「獲れないか」
「馴染みがないことは事実でね」
「それで食うこともか」
「なくてね」
それでというのだ。
「その味もね」
「知らなかったか」
「お吸いものでも何でもね」
「鱧は美味いがな」
「それでもね」
「ずっとだな」
「そっちの泥鰌と同じだね」
桜子は英雄に話した。
「まあ鱧と泥鰌じゃ格が違うかも知れないけれどね」
「魚の格だな」
「鱧は高いよね」
「そうだな」
英雄も否定しなかった。
「京都の料理でもかなりの食材だ」
「その扱いだね」
「だからな」
「鱧は格が高いというね」
「何しろです」
良太が麩を食べつつ話す。
「祇園祭は通称鱧祭りといいます」
「鱧を食べるからだね」
「食べられる様になるので」
それでというのだ。
「ですから」
「その呼名だね」
「そうです、ですから」
「鱧はだね」
「そうした名前が付くことからもわかる様に」
まさにというのだ。
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