ターン28 翠緑の谷の逆鱗
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んな死に方をしていいはずがねえ……それにな」
そう言ってそいつは、アタシの後ろに視線を向けた。ゆっくり振り返ると、大分晴れてきた砂埃の向こうに廃墟が……きまでビル群だったものが、ぐちゃぐちゃのコンクリートと鉄骨とガラスの塊の地獄絵図があった。それを一つ一つ指し示しながら、そいつは語りだした。
「全く関係ない、なんてことはないんだぜ、『赤髪の夜叉』。親父を苦しめたって意味じゃ、ここにいるやつらは全員同罪だ。そこのビルは、大手カードショップ会社の本店。奴らが俺たちの町に支店を開いたせいで、親父の店の経営は元々落ち込んでた。そこにお前らプロデュエリストがとどめを刺したんだがな。他にも俺たちカードショップを反社会勢力の手下だ、武器の販売店だなんて煽りやがった雑誌の本社、最初の銀行強盗以来デュエルモンスターズ産業全般への融資を無条件で打ち切りやがった銀行……これは復讐なんだよ」
完全にいかれてやがる、これじゃ話にならねえ。それで返事できなかったのを、アタシがビビったとでも思ったのかね。急ににやにや笑い出して、こんなふざけたことまで言い出しやがった。
「それにな。もうすぐここに警察も来るだろうが、奴らが見たらこの状況をどう思う?」
「どう?そりゃどういう意味だ?」
「おいおい、まだわかんねえかなあ。あのビルを漁ったところで、瓦礫の下から出てくるのは親父の店にあったデュエルモンスターズのカードだけだ。そして今日、この場所でデモを始めたのはブレイクビジョン・システムを持つ唯一の連中、プロデュエリストだ。当然カードはいくら持ってても不思議じゃないし、あのビルに入ってあらかじめカードを仕込むのも難しくはない」
「まさか、アタシらに全部擦り付けようってのか?」
「言っただろ?これは復讐だよ。俺たちを、親父を切り捨てやがった奴らは、親父のカードを実体化させて殺す。だがその元凶になったお前らプロデュエリストは、そんな楽には終わらせてやらねえ。まずは手始め、社会的にぶち殺してやるよ。お前らみたいな目立ちたがり屋どもには、こっちの方が効くだろうからな」
それから急にタガが外れたみたいに笑いだしたそいつを、アタシはやっぱり見てるだけしかできなかった。誰もいない町のど真ん中でな、どこかで爆発の衝撃でガスでも漏れてるのか、重苦しい空に空気の漏れる音と嫌な臭いが漂って。だいぶ精神的に参ってて壊れる寸前だったんだろうな、発作でも起きてんのかってぐらい身をよじって大笑いしてる男……なんかもう馬鹿馬鹿しすぎて、夢でも見てんのかと本気で考えちまったぐらいだ。
ま、紛れもなく現実だったんだけどな。
「さあ、来いよ……」
笑い始めた時と同じぐらい唐突に、そいつの顔からふっと表情が消えた。うつろな目つきで取り出したのは、なんだと思う?デュエルディス
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