ターン28 翠緑の谷の逆鱗
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し続けることに疲れた、罪悪感に耐えきれない……もちろん、それもあるだろう。どこからともなくやって来て、いずれどこへともなく去っていくであろう存在だからこそ、というのも否定はできない。だがそれ以上に、これがこの少年の持つ魅力なのだろう。決して太陽のように中心となって光り輝くわけではないのに、ただそこに自由にいるだけでなぜか周りを巻き込んでいく。
「いいぜ、話してやるよ。アタシがあの日、何をやったのか。世界に何が起きたのか。デュエルポリスが生まれた日のことを。先に断っておいてやるが、面白い話じゃないぜ?それでもいいってんなら、覚悟して聞けよ」
そのまま、返事も待たずに語りだす。あの日の記憶は、今でもくっきりと頭の中に残っている。
ありゃ13年前、まだアタシの肩書が「プロデュエリスト」だった最後の日だ。ちょうど「BV」が開発されてから……そうだな、だいたい一か月ぐらいだっけか?実体化するソリッドビジョン?凄いのはわかるがこんなもんどう使えばいいんだよ、ってのがあの時のプロの大まかな総意だったな。まあできちまったものは仕方ねえしスポンサーのデュエルディスク開発会社からも頼まれたから、どうにかその仕組みを取り入れてプロ界も変革するかってあれこれ模索してる時期だった。今となっちゃ信じられないかもしれないがな、最初からテロリストがいたわけじゃないんだぜ?本当に最初期の一瞬だけは、どうやって「BV」と共存するか平和にあれこれ考えてる時期もあったのさ。
きっかけは……ある雑誌だ。昔っからあることないことばらまいたり攻撃的な記事書いて話題作りしたりでアタシらからは評判悪いとこだったんだが、そこお抱えのライターがある記事を書きやがってな。今にして思えばあれが予言の書ってのが皮肉な話だが、見出しだけでもこんな感じだった。
『警告!プロデュエリストから全権限を取り上げろ!』
内容は簡単に言えば「BV」は危険だ、こんなものを持たせていては悪用されるって話なんだけどな。そこで本体の規制じゃなくてデュエリスト叩きに持ってくってのが……ま、お察しだよ。別にふざけんな馬鹿野郎っていつも通り一蹴すりゃよかったし事実そうするつもりだったんだけどな、最悪なことに丁度その発売日、プロの中でも下の下、ランキング最下位争いしてるようなつまんねえチンピラがやらかしたんだよ。何をって?銀行強盗だよ。あのくそったれ、計画性も何もないチンピラのくせにモンスターや魔法のごり押しだけで成功させやがって。
で、一度そうなったらもう駄目だ。真似する馬鹿は出る、世間様からの風当たりは強くなる、イメージ商売のアタシらは直角に近い勢いで収入が落ちる、生活に困ったときにふと見れば手元には「BV」が内蔵されたデュエルディスクがある……な?
話しているうちに、当時の
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