暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン28 翠緑の谷の逆鱗
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傷97人、軽傷者まで含めるとその倍は堅いだろう。まったく、人災としては戦後でも5本の指に入るだろうな」
「ちょっと待てよ、それはアタシの……」
「その写真をよく見たまえ。これは爆発の直前の瞬間を、偶然生きていたとある店の防犯カメラがとらえたものだ。紫色の肉体を持つ竜らしき影が、ごく一部だが写っているだろう?話によれば君は、真紅眼の不屍竜なるカードを好んで使っていたそうではないか」
「違う!アタシはそんなことやってない……!」
「検察はそれを信じるかな?幸い証拠は我々がすべて手を回したため、外部に漏れてはいない。今のところこの話を知っているのは我々を含めた政府内でもごく一部の限られた立場の者と、ほかならぬ君自身だけだ」
「アンタら、アタシを脅迫しようってのか?」

 さすがにそこまでくれば、いくら寝起きでも何のためにそいつらが来たのかは予測できるさ。アタシの首を何としてでも縦に振らせるために、奴らは来やがったんだ。

「よく考えたまえ。仮に君の言葉が真実だったとしても、世間はそうは思わないだろう。斜陽となったデュエリスト産業にとって、たとえ容疑者とはいえ君ほどの有名人の名がこの災厄の下手人として名が挙がるのは致命傷となりうるはずだ。この写真を送り付ければ、たとえ提供者が匿名でも各雑誌や新聞は喜んで記事を書くだろうな」
「テメエら……!」
「もう一度言うが、よく考えたまえ。返答ひとつで君は人殺しの大犯罪者となりデュエルモンスターズ産業を完膚なきまでに亡き者にすることも、あるいは正義のために戦う英雄となることもできるのだよ」

 確かに、それでも断ることもできた。証人になる剣は爆発で木っ端みじん、証拠ったってピンボケした写真ぐらいのもんだ。裁判になってもかなり不利とはいえ、勝ちの目がないわけじゃない。
 でもな、アタシは弱かった。鼓の戦友なんて言ってられるような女でも、八卦ちゃんが憧れるようなヒーローでもない。どうしようもなく、クソみたいな女なんだよ。そうさ、アタシは怖かった!その場で首を縦に振った
さ、アタシ自身のためにな!正直な話、デュエルモンスターズ産業の未来のためなんてのは都合のいい、格好の言い訳でしかなかった。アタシはアタシ自身の身を守るためだけに、プライドを捨てて魂を売り渡したんだ!





「……悪いな、熱くなっちまった。だけど、これでわかったろ?これが、アタシだ。あれからもう13年になるが、いまだに何も変わっちゃいねえ。人殺しの責任も、街を壊した罪も、全部が全部剣にあるわけじゃない。最後のトリガーを引いたのは、アタシ以外の誰でもない。そのくせ、そこから逃げ続けてる」

 神妙な顔で聴いていた清明にふうと肩をすくめ、パイプ椅子に体重を預けてもたれかかる。倦怠感と喪失感が混ぜこぜになり、彼女の体を襲ってい
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