ターン28 翠緑の谷の逆鱗
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最後の手段であろう爆発が根こそぎ封じられたことで、精神的にも限界が来たんだろうな。その場で気を失ってひっくり返っちまった野郎の所に、アタシもいい加減疲れた足を引きずって歩いてった。いくら凍り付いて爆発しにくくなったとはいえ、物騒なもんであることに変わりはないわけだからな。さっさと回収して捨てちまおう……そう思った矢先だよ、全部がおかしくなったのは。
「ん……お、おい!待て待て待て……!?」
雪女の大暴れのせいで間違いなく数度は下がった肌寒い気温の中、何気なくデュエルディスクの電源を落とそうとした時だ。手に、違和感があった。普段はスムーズに動くしメンテもちゃんとしてるはずのデュエルディスクが、その時に限って固くて電源が動かなかったんだ。理由?さあな。ただ、前からちょっとプロの中でも話題になってたんだ。「BV」を使ったデュエルの後は、デュエルディスクの温度が凄いことになってるって。昔の「BV」は、現行式とは処理量と負荷も桁違いだった。無茶させまくったツケが、最悪のタイミングで回ってきたんだろうな。
このままだと、何が起きるかわかったもんじゃない。あたり一面凍てつかせたとはいえ、風もほとんどない日だったからまだガスはそこら中に溜まってる。それでアタシはあの時咄嗟に、とにかくカードを全部引き抜こうとした。実体化させるカードさえ存在しなけりゃ、「BV」といえどもクソスペックの後付け装置でしかない。
だがな、理由はどうあれアタシのデュエルディスクは起動中だったんだ。大体新品買った時、説明書の表紙辺りに目立つようにでっかく書いてあるだろ?『起動中に無理にカードを引き抜かないでください。破損や異常の原因になります』ってな。それなのにアタシはそんな基本も忘れて、とにかく力づくで引っこ抜こうとした。
「真紅眼の不屍竜……!?」
無理したせいで読み込みに異常が出たのか、消えるどころか呼んでもいない真紅眼がいきなり実体化して現れた。腐敗した体の全身からたなびく瘴気、そしてひときわ燃え盛る腐り落ちた眼窩を埋める鬼火の目。攻撃の命令でも入ったことになったんだろうな、あの時。いきなり口を開いたかと思うと火炎弾が発生してみるみる膨らんでいき、止める暇もなくそいつを足元めがけて撃ち込んだんだ。慌ててその余波を避けながら上を見ると、すでに真紅眼は次の一撃を溜め始めてた。
「や、やめろ真紅眼!」
犬や猫じゃねえんだ、言ったところで聞くわきゃねえ。ドン、ドン、ドン……休む間もなく火炎弾があちこちにめくら撃ちされて、そのたびに周りが吹っ飛ぶ。
んでついに、思いつく限り最悪のことが起きた。さっき、真紅眼の鬼火に火をつける力はないみたいな話をしたろ?それは確かにそうなんだが、それはそれとして当然、当たれば爆発するし、その衝撃で火がつく分には何
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