暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン28 翠緑の谷の逆鱗
[19/23]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
らせずにあれだけ手こずらせてくれたパワー・ツールが2体のドラグニティごとただの氷像に代わっちまったよ。

 機械龍 パワー・ツール 攻2800→0

「俺のパワー・ツール……!何をしやがった!」
「簡単な話だよ、屍界のバンシーだ。手札抹殺で捨てたこのカードを墓地から除外することで、デッキからアンデットワールドを発動することができる。アンデットワールド自体にステータスをいじる力はないが、雪女にはそいつがある。互いの墓地からモンスターが特殊召喚された時、または墓地からモンスターの効果を発動した時、相手フィールドのモンスター1体を選択してその攻撃力を0にして効果を無効にする。魔妖流、幽世焔断(かくりよのほむらだち)!」

 機械龍 パワー・ツール 機械族→アンデット族
 メカ・ハンター 機械族→アンデット族

「だが、まだだ!いくらパワー・ツールが無力化されようと、そいつの攻撃力なら耐えきれる……!」
「いいや、無理だな。速攻魔法、アンデット・ストラグル。このカードはフィールドのアンデット1体の攻撃力を、1000上げるか下げるかすることができる。よって雪女の攻撃力は……」

 零氷の魔妖−雪女 攻2900→3900

「3,900……」

 わかるだろ?ジャストキルって奴だ。雪女が薙刀を振りかぶって飛び、空中からの斬撃が閉じ込めていた氷の塊ごとパワー・ツールを打ち砕いたのさ。

 零氷の魔妖−雪女 攻3900→機械龍 パワー・ツール 攻0
 剣 LP3900→0

「そんな……親父……畜生……!」

 聞き取れたのはそこまでだったな。後はもう、ボロボロ泣いてたせいで何言ってんのかさっぱりわからなかった。まだ若いとはいえ大の大人が泣きじゃくってるのなんざ見たいもんでもないからとりあえず遠巻きに眺めてたが、ややあって泣き止むとゆ……っくりとした動きで立ち上がった。で、またポケットに手を突っ込んだ。
 どうしたかって?何をやるかは予想付いてたからな、先手を打ってアタシから言ってやったよ。

「やめときな。なんのためにアタシが雪女を出したと思ってんだ?その物騒なもんは、雪女の影響で完全に凍り付いたはずだ。そうそう爆発なんてさせやしねえよ」
「それじゃ、はじめからそれを狙って……!」
「さあな。それは企業秘密だが、少なくともひとつは教えてやる。アタシを相手にして本気で追い詰めて倒そうなんざ、百年どころか百万年は早いんだよ」





「……とまあ、ここで終わってりゃアタシの武勇伝、ちょっといい話で終われたんだがな」

 そこで一度話を切った糸巻が、おもむろに取り出した煙草に火をつけた。一服して喋りづめだった喉を休ませ、その間に覚悟を決める。あの日の記憶は、ここからが本番なのだから。





[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ