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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第39話:力無き者の戦い
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 逃げる以外の道を見つけなければ。

 透が思い浮かべたのは、響を始めとする二課の装者と魔法使い。響は敵である筈のクリスを助け、更には対話で分かり合おうとしてくれた。他の者達もそうだ。日本政府はともかくとして現場に出てくる4人は信用できる。
 とは言え自分達は二課の、日本政府の敵として対峙してきた。恐らく投降すれば2人は拘束されるだろう。

 しかし話せば分かってくれるだろう彼らの方が、問答無用で殺しに掛かってくるジェネシスよりもずっと良い。

「ん……透……」

 不意にクリスが寝言と共に抱き着く腕に力を込めた。見ると目元には僅かながら涙が浮かんでいる。
 透はその涙をそっと拭い、再度彼女の背を優しく撫でながら自身も休息をとる為に瞼を閉じた。目を閉じて体から力を抜くと、直ぐに睡魔が彼を眠りに誘っていく。

 睡魔に身を委ねながら、透はどのようにして二課にコンタクトを取るかを考えつつ眠りに落ちるのだった。




***




 響と未来が仲違いをしてから一夜が明けた。昨日以上に冷え切った雰囲気のまま2人は朝食を済ませ、一言もしゃべらぬまま授業を終え、別々に学院を後にした。
 響は二課本部へ、未来は真っ直ぐ自宅の寮へ────

「お、居た居た!」
「──え?」

 俯きがちに歩いていると、横から現れた颯人が未来に声を掛けた。突然の事で理解が追いつかず目を白黒させた未来だったが、それがつい先日弓美達と共に観た噂の手品師である事に気付く。更には自然公園で響と共によく分からないものに変身して戦っていた事を思い出し、未来の顔に緊張が走る。

 表情を強張らせた未来に颯人は軽く苦笑し、手品で小さな花束を出して見せた。鮮やか且つ予告なしの手品に未来が目を奪われると、颯人は更にその花束を手の平サイズのブローチに変えてしまった。

「お近づきの印に、どうぞ」
「あ、どうも」

 差し出されたブローチを、やや警戒しながら受け取る未来。最初の驚愕は大分薄れてきたが、それでも先日の自然公園での事もあって完全には警戒心が抜けてくれないらしい。

 こちらを警戒する未来に、颯人は軽く肩を竦めた。

「警戒されたね。もしかして、俺も響ちゃんを戦いに巻き込んだ連中の1人、とか思ってる?」
「ッ!? それは……」

 言い淀む未来。その反応は颯人も予想していたので、特に気分を害することはしない。寧ろ彼女がそう思うのは当然の事だ。彼女は彼の事を何も知らないのだから、そう思っても仕方がない。

 警戒する彼女の心を静める為、颯人は次の行動に移った。

「ま、ここで長話ってのもなんだ。突然のお誘いで恐縮だけど、どこか適当なところでお茶でもしないかい?」

 颯人の誘いに、未来は未だに警戒しなが
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