第8章:拓かれる可能性
第252話「闇が示す光」
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てくれた。……私にも、別の“可能性”があると、そう言ってくれた。……ただ、それだけで私は光を、希望を見たんです」
耳障りだと言わんばかりに、敵のイリスが攻撃を放つ。
だが、優奈が、祈梨が、帝が……周りの者が、それを防ぐ。
そんな中で、イリスの言葉は続く。
「道を示してくれたから!私は彼に憧れた!彼の在り方に、魅せられた!まるで、恋に焦がれたかのように……いいえ、事実、私は彼に恋焦がれた!愛そうと思った!ただの人間のように、ただの一人の女として、彼に恋したんです!」
涙を流し、精一杯な満面の笑みを浮かべて、イリスは高らかに言う。
これから、完全に消滅するにも関わらず、何も恐れていないかのように。
「……私が全てを投げうった理由なんて、それだけです」
そう微笑んで、イリスは優輝へと近づく。
「ありがとう、“可能性”の貴方。私にも光を見せてくれて、本当にありがとう」
優輝は沈黙している。それでも、イリスはお礼を言った。
……そして。
「そして、さようならです。気づけなかった私。貴女も、今度はちゃんと気づかされるといいですね」
その言葉を最後に、イリスは跡形もなく消え去った。
「たった……それだけ……?……それだけの理由で、神界の神である存在が、“領域”すら投げ出すなんて……ありえません……!」
敵のイリスは、未だに困惑していた。
ただ憧れた、恋をした。
それだけで“領域”を捨てたのが納得できなかったのだ。
「―――僕も予想外だったさ。でも、それこそが“可能性”ってモノだ」
直後、その声が響くと同時に理力が光の柱となって立ち昇った。
「な、ぁ……!?」
「イリスの示した“光”。そして緋雪の、皆の想い。……しっかり響いたぞ」
その中心に、優輝が立っていた。
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