第8章:拓かれる可能性
第252話「闇が示す光」
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光を!!私が憧れた、私の恋した“可能性”の力を!貴方が魅せてくれた“可能性”を、今度は私が!」
―――“其は、闇が示す光”
「ここに!示します!!」
桃子に宿っていたイリスの体が、光に包まれる。
そして、その光は天に上り、世界中に飛び散った。
「ッ、よりにもよって……貴女が私の“闇”を祓うと!?“闇の性質”である存在が、その“闇”を祓うなど……そんな事が……!?」
「“闇の性質”であるならば……その“闇”を取り除く事も当然可能です。……光と闇は表裏一体なのですから」
もう一人のイリスは、桃子の姿からイリスの姿へと変わっていた。
否、こちらが本来の姿だったのだろう。
「同じ私でありながら……なぜ……ッ!?」
「彼に倒された事で、残った貴女は憎悪を抱いた。対し、飛び散った私は光を……希望を抱いた。ただ、それだけの違いです。本当に、ただそれだけの……」
「ッ……!」
イリスが“闇”を振りかぶる。
「はぁっ!!」
それを、優奈が理力の剣で弾き、庇った。
「……そう。それこそ彼と彼女のように、分裂した時点で私達は別なのです」
「どうやら、そのようね……!」
そう、優輝と優奈も同じ存在だった。
しかし、分裂した後は記憶や考え方に違いが起きていた。
それが、イリスの方でも起きていたのだ。
「ッ……預言の“闇が可能性の光を示す”と言うのは、もしかして……」
「間違いなく、彼女の事ね……」
緋雪と奏が、預言に出ていた存在が転生したイリスの事だと確信する。
一方で、敵のイリスは顔を顰めていた。
「だとしても……そうだとしても!“領域”すら投げ出す程の事を、なぜ……!?」
「……え?」
イリスのその言葉に驚愕したのは、ミエラと知識を共有していた奏だ。
「“領域”を投げ出す……まさか、消滅……!?」
奏が転生した方のイリスを見る。そして、絶句した。
桃子から分離した時点で透けていた体が、もうほとんど見えなくなっていた。
「ええ、その通りです。“天使”ミエラの依り代。……私は、私の“領域”全てを投げうって、私の力を相殺し、“可能性”を拓きました」
「ッ……!?どうして、そこまで……?」
「どうして……ですか……」
もう一人の自分に、そして奏にも問われ、イリスは困ったように笑う。
まるで、その答えを言うのを恥ずかしがるように。
「そう、ですね……言うなれば―――恋、したんです」
体が、存在が消えゆく中。
それでも、イリスは答えを口にする。
「あの時、ただ自身の“性質”に囚われて“闇”を振りまいていた私を、止め
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