第8章:拓かれる可能性
第252話「闇が示す光」
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…」
「……お願い。いつもの、私が好きなお兄ちゃんに、戻って……!」
懇願する。変に言葉を並べるよりも、ただ真っ直ぐに懇願する。
「ぁ、ぐ……!?」
しかし、返答は創造魔法による串刺しだった。
正面から串刺しにされ……しかし、それでも緋雪は再度優輝に抱き着く。
「行かせない!」
「行かせません!」
「行かせるかぁあああああ!!」
一方で、イリスの方も優奈、祈梨、帝が追いつき、食らいつく。
先に食らいついた三人と違い、優奈達はイリスとまともに戦う事が出来る。
イリスも警戒していたのか、思わず距離を取っていた。
「……どうか、お願い……」
「ッ……!」
串刺しになったまま優輝を抱きしめる緋雪が、弱弱しく呟く。
その呟きを、司が拾う。
イリスの“闇”を押し留めているため、緋雪の所には行けない。
だが、“祈り”を現に変えようとする、天巫女の力が反応する。
「……チャンスは、ここですね……!」
祈梨もまた、その呟きを拾い、天巫女の力を使っていた。
ジュエルシード……否、プリエール・グレーヌも淡く輝く。
「戻ってきて、お兄ちゃん……!!」
―――“道を拓く、破壊の瞳”
“祈り”としては、そこまで強くはない。
だが、優輝を……愛する人を“助けたい”という想いが、そこに実現した。
その祈りが緋雪の“破壊の瞳”と合わさる。
「(これでも、ダメなの……!?)」
確かに優輝の“闇”は弾けるように吹き飛んだ。
しかし、それでも祓いきれなかった。
それを横目に見ていた司は、歯噛みする。
「………」
緋雪も、再び優輝に纏わりつく“闇”を呆然と眺めていた。
「彼から……離れなさい!!」
「ッ……突破された!緋雪!避けて!!」
そこへ、イリスがついにやってくる。
“闇”を手に纏わせ、緋雪に向けて振りかぶった。
……だが、その衝撃はいつまで経ってもやってこない。
「―――そこまでよ。イリス」
まるで、時が止まったかのように、イリスは動きを止めていた。
それほどまでに、イリスはそこに現れた存在に動揺していた。
「え……!?」
それは、緋雪も同じだった。
緋雪を庇うようにイリスの前に立った人物は、意外どころではなかったからだ。
「ど、どういう、事なの……!?」
司が呆然と呟く。
自分達を圧し潰そうとする“闇”は、その人物に吸い込まれるように消えていった。
「ッ……嘘でしょう。なんて、事なの……!?
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