提督と早霜のこっそり賄いメシ・1
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おく。
準備が出来たらこっからは早いぞ。フライパンにごま油を引いて熱し、しょうがとにんにくを入れて炒める。香りが立ってきたら塩をひとつまみ振り、そこに豚バラを投入して炒める。豚バラに火が通ったら鍋肌に沿わせるようにみりんを投入。そうしたらすかさずホウレン草を加えて更に炒める。ホウレン草の食感を活かすためにホウレン草を入れて1分も炒めずに仕上げの醤油を入れる。醤油もみりんと同様、鍋肌に沿わせるんように入れて少し焦がすのがポイントだ。これで完成。
「ホレ出来たぞ〜、『豚バラとホウレン草の炒め物』だ」
そこに白飯と味噌汁、それから俺特製の糠漬けのキュウリとナスを付ければ立派な定食の出来上がりだ。
「味噌汁はインスタントだがな」
「お夜食としては十分なボリュームだと思いますが……では、いただきます」
と、まずは早霜味噌汁を一口啜って口を湿らせて、白飯を頬張る。味噌汁は市販品だが、米はウチの鎮守府産。そう、山雲の趣味の家庭菜園だったハズの『山雲農園』はついに、田んぼを拵えて米まで生産するようになったんだ。いよいよもって籠城した時の備えが万全になりつつある。
「これは……今年の新米ですか?」
「あぁ、ブルネイは温かいから米が年2回取れるからな。これは6月頃に獲れた一期作米だ」
同じ田んぼで年2回米が取れる作り方を二期作ってんだが、日本だと沖縄辺りでやられてるんだよな、確か。
「成る程……何だか新米というだけで美味しい気がしますね」
「まぁ、古い米よりは美味いだろうな」
と言いつつ、俺はホウレン草炒めをツマミにビールを煽る。俺は朝まで店を開け、昼まで寝たら起きて飯を食い、午後から執務をこなして5時から開店準備。その際に作り置きのおかずやらその日のお通しなんかの味見の為にチョイチョイ摘まむからそんなに腹は減らねぇんだよな、基本的に。だから早霜の賄いを作った残りは休憩時間の俺のツマミに変わる訳さ。
「ん〜、やっぱメシのおかずとしては十分だが酒のアテとしてはちと弱いか」
「そうでしょうか?十分に美味しいと思いますが」
「いや、美味いには美味いよ。だが、酒の肴ってのは何て言うかこう……極端な味を求めたいんだよな」
塩気や辛味、酸味にしろ、酒の肴に合うのは濃い目の味付けや刺激的な味わいがある物か、或いは豆腐のようにそれ自体が淡白な味で酒の味を引き立てるような物だ。このホウレン草炒めも生姜とにんにくが利いている上に甘辛系のご飯が進む味ではあるが、酒の肴にするにはちとパンチが弱い(個人的には)。
「じゃあどうするんです?」
「そうだなぁ……にんにくと生姜を炒める時に豆板醤も加えて辛味を加えるとか、敢えて炒めてる時は味付けせずに皿に盛ってからおかかとポン酢
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