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神機楼戦記オクトメディウム
第21話 思わぬ奥の手:後編
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ったミヤコはここで『畳み掛け』を行う事にしたのである。
「でも、彼女へより強い想いを抱いているのはあの子──『紅月の巫女』の姫宮千影さんなのよね?」
「!」
 その言葉を聞いた士郎は、思わず息を飲んでしまうのであった。触れて欲しくない事を触れられてしまったからだ。
「女の子同士ってのもおかし……いえ、人間の脳は男女の異性間で愛し合うシステムがどこかで壊れる事があるのだから、そう考えれば別におかしい事ではないわよね」
 しみじみ……そう言った風にミヤコはのたまい、そして続ける。
「でも……私が言いたい事を率直に言うわ。そんな同姓間でも彼女達の愛は本物──」
 そして、ここで決定打となる一言をミヤコは爆弾のように投下するのであった。
「──つまり士郎君……あなたに付け入る隙はないって事よ」
「…………」
 とうとう放たれたミヤコからの決定的な一言に、これに対しても士郎は無言となるしかなかったのである。そして、その微妙な空気の変化を察したミヤコはここぞとばかりに畳み込むように言う。
「それでも、あなたは我等大邪との戦いへと身を投じるというのかしら? そんな自分の心を満たしてくれない仲間と力を合わせながら……」
 ますますミヤコ節はヒートアップしていき、ここで『結論』を彼女は打ち出すのであった。
「そんな自分の望みが叶わない戦いに身を投じて意味なんかないでしょう。それよりも、望みが叶わないこんな世界を壊してしまった方が自分の正直な気持ちに応えられるのではないでしょうか?」
 そう言い切ったミヤコはコックピット内で両手を士郎へ向けて差し出すのであった。そんな仕草が、士郎の頭の中に入り込んできたのだ。
「俺は……」
「敵の言葉に惑わされては駄目よ、士郎君!」
 そう呼び掛ける泉美であったが、確実に士郎の変化は起こってきたのであった。
 突如として、コックピット内にいる彼の髪が白から、徐々に目映いばかりの金髪へと変貌していったのである。それに合わせ、彼の着ている白一色の服も輝かしい黄金の色へと染まっていく。
 更には、彼の搭乗する剣神アメノムラクモもその白いボディーを金色へと染め上げ始めていくのであった。
 その金一色への変化はとうとう終わりを遂げたのである。
「はあっ……はあっ」
 そのような変貌を遂げてしまった精神的な問題だろうか、士郎はその息をあがらせて荒い呼吸を繰り返しているのであった。
「士郎……君?」
 そう呼び掛ける泉美に対して、とどめを刺すようにミヤコは言ってのける。
「無駄よ。その子はもう『剣の神器使い・大神士郎』ではなく『大邪七の首・大神士郎』になったのよ。そして、彼の駆る神機楼はアメノムラクモから『タケノミカヅチ』へと生まれ変わったわ」
「……」
 その敵の言う事を真実として受け止められない泉美。
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