第21話 思わぬ奥の手:後編
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いといけないだろう。故に、彼女は今はその時ではないと踏んで敵二体への応戦へと向かうのであった。
「小賢しいわね」
だんだんとシスターとしての淑女的な振る舞いが崩れてくるミヤコ。それは正に邪神の遣いに相応しいどす黒いものを感じさせるものであった。
そして、彼女は吸収攻撃は悪手だと分かると、ここで攻撃方法の変更をしてくる。
おもむろに、ミヤコはガキノユウモンの葉の口を一斉に敵の方向へと向けたのであった。
こうして迎撃体勢は整った。これで敵を一網打尽にするだけである。
そう、彼女は葉の口を消化器官ではなく、砲門としての運用に徹しようと決めたのである。吸い取るだけではなく、吐き出す事も出来るとは現実の食虫植物では有り得ない事であろう。
自らの構成エネルギーを消費しての攻撃に転じる事になった事にミヤコは歯噛みする思いであるが、ここは辛抱というものであろう。戦いにおいてこだわりに囚われていては勝てるものも勝てなくなってしまうのだから。
そして、砲台と化したガキノユウモンへとミヤコは攻撃命令を──出す事が出来なかったのであった。
気付けば、ガキノユウモンにしたたかに丸い硬質な塊がめり込んでいたのであった。それがぶつかる衝撃で今溜めていた砲撃用のエネルギーが消し飛んでしまっていたのだ。
「な、何を!?」
無論、そのような突然の事にミヤコは驚愕しながら聞いてしまうのであった。そんな敵に対しての質問という無粋な行為に対して、幸い泉美は丁寧に答えてくれるのだった。
「射撃は姫子さんと比べて苦手なんですけどね、四の五の言っていられませんから」
そう、これは泉美の駆るカルラノカブトからの援護射撃であったのだ。その種を明かした彼女は得意気にのたまって見せる。
「名付けて──『魔女の鉄球』とでも言っておきましょうか?」
「いや、鉄球って……?」
士郎はその単語を聞いて首を振るのであった。それは魔女には物凄く不釣合いな無骨な産物ではないかと彼は思うのであった。
「いいえ、士郎君。今のは敵の攻撃を防げた事に意味があるのであって、名前なんてものは重要ではないのよ」
「……それはそうだけどさ……」
泉美の言う所はもっともであったが、それでも士郎はどうにかなるものではなかったのかとやるせない心持ちとなるのであった。
しかし、その気持ちを彼は払拭して意識を舞い戻らせる。こうして泉美の協力もあって、敵を追い詰めている事が実感出来たからであり、後は最後まで戦うだけだと彼は踏んでの事であった。
そのようにして自分達の優位を感じている所で、突如として場の空気が変わる事となる。
「ふふふ……あはははは!!」
そのような狂ったような笑い声が二人には聞こえてきたのであった。そして、確認してみればそれが目の前の修道女から発せられた、神の使い
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ