第20話 思わぬ奥の手:前編
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呼んでいいものか疑ってしまう産物なのであった。だが、泉美の言により、それを実際に起こっている事を受け止めるしかないだろう。
「驚いているようですね。これが、私──大邪衆二の首シスター・ミヤコが駆る神機楼『ガキノユウモン』にあります」
その言葉に続いてミヤコはコックピット内で優雅に礼をして見せたのであるが、彼女の搭乗機体であるガキノユウモンはそれとは正反対に不気味な呻き声と蠢きで以って答えるのであった。
それだけで、この機体から得体の知れないものを感じるには十分というものであろう。
そのようなおぞましさを見せたミヤコであったが、彼女はそんなのどこ吹く風と言わんばかりに淡々と言葉を並べていった。
「前置きはこれ位にして、始めましょうか? 遠慮は要りませんよ?」
そう言うとミヤコはくいくいと熟練者のように手招きをして挑発気味に振舞う。だが、それも彼女の搭乗機体はおぞましく蠢く形で答えるだけであるのだった。
そう言われて、初陣を切ろうとするのは士郎であった。
「泉美さんの神機楼は接近戦向けではないから、ここは俺が先陣を切ろう!」
言って士郎はその勢いに乗って敵の食虫植物へと斬りかかっていったのである。
「はあっ!」
そして、まずは袈裟に斬り込みを入れたのである。それにより敵の植物のような体に少し切れ目が入るのであった。
「この感触、本当に植物みたいだな」
そう士郎が感じると、彼はそのまま攻撃を加えていく心意気が芽生えてくるのであった。
もしかしたら、敵の神機楼の強度は本当に低いのではないだろうかと。それならば、敵が何かを仕掛けて来る前に畳み掛けるのが最善といえる戦法なのではないかと瞬時に思うのであった。
その判断をしながら士郎は攻撃の手を続けていったのである。袈裟の次は薙ぎ、次は払いといった感じに間髪入れずに次々と敵のその植物然としたボディーを切り裂いていく。
だが、そのような事を敵、それもその頭がそう指をくわえながらやらせている筈もなく、とうとう動きが見られるのであった。
「そのあなたの剣捌きは見事ですね。こちらとしては手も足も出ないといった感じです。しかし──『お連れの方』も果たしてそうでしょうか?」
そう言うとミヤコは愛機の牙と口に模された複数の葉を一挙に開いて見せたのであった。その様はグロテスクの一言だ。
そして、その開いた葉の口をミヤコはある一点へと向けたのである。──そう、士郎の後方に存在する、泉美の駆るカルラノカブトへとだ。
瞬間、その複数の口全てから不気味な光が放出されると、その後すぐにカルラノカブトからエネルギーが吸い取られていくのであった。
その事が分かったのは、今回も泉美がそこにHP表示システムを搭載していたからであった。故に、先程まで満タンであったHPが減少する様が数値に
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