第20話 思わぬ奥の手:前編
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ょうか? そのような態度だと……」
そこまで言うと、ミヤコはおっとりした修道女の仮面をそこで剥ぎ捨てて雰囲気を一変させて続ける。
「死に急ぎたい……こちらとしてはそう捉えるしかないですからね!」
その言葉を皮切りに、彼女からは優しげな印象は削ぎ落とされ、修羅の女が一人、そこにいるという風であった。
「最早、前置きは必要ないでしょう。早速こちらから神機楼を出させて頂きますよ!」
言うとミヤコは懐から十字架を取り出すのであった。
それは修道女のイメージにとても馴染む代物であろう。だが、先程死に急ぎたいのかと言った者が扱えば、悪ふざけや神への冒涜としか捉えられないアイテムへと早変わりするというものだ。
そして、その十字架──の形を模した神機楼召喚の媒体を天高く彼女は掲げ、宣言する。
「出でよ、『ガキノユウモン』!」
『ガキノユウモン』。それが彼女が今しがた召喚しようとしている神機楼の名称のようであった。
勿論、黙って敵の召喚を待つ二人ではなかった。
「士郎さん、こちらも行きましょう!」
「無論だ!」
そう言い合った二人はまずは神機楼操縦の為の『戦闘服』へと身を包むのであった。
士郎は白一色の外套とスーツの姿に、泉美は魅惑的な魔女の姿へと。
ちなみに、互いにその戦闘服を見るのは初めてだった訳で。
「士郎君。そのピチッとしたお召し物……何だか素敵だわ」
「泉美さんこそ、その格好はちょっと目に毒というものだな……」
互いにサプライズのある服装だったようが、士郎の方がよりその相手方の姿が目に焼き付いてしまうのであった。哀れ、男のサガ。
しかし、今はそのような悠長なやり取りをしている場合ではないだろう。何と言っても、今正に敵の頭自らがこうして出陣してきたのであるから。
そして、泉美と士郎の二人もその後に神機楼を繰り出すと、まだ巫女二人と比べて日が浅いのをものともせずに臆する事なくその中へと取り込まれていく手順を踏んだのであった。
こうして二人は白き剣神と、紫の鳥神を駆り始めたのであった。ここに彼らが『白陽の騎士』や『紫陽の魔術師』と呼ばれる所以があるのだった。
そして、戦う準備が整った二人が見据えた先には、異様な姿がそこにはあったのである。
神機楼自体非現実的な産物と言えるだろうが、ミヤコの駆るそれはその事を考慮しても群を抜いていたのであった。
それは、葉の部分が口や牙を思わせる──所謂『食虫植物』のような姿をしていたのであった。
それが、鋼にて構成される神機楼によって形造られているのだから、異質極まりないと言えよう。
「あれは……本当に神機楼だよな?」
「ええ、彼女の手によって繰り出されたエネルギーの痕跡があるから、間違いないわ」
思わず士郎が確認を取ってしまう程、それは『機体』と
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