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神機楼戦記オクトメディウム
第18話 白陽の騎士と創造の神:後編
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 その異様な空気の変化に、姫子は瞬時に察したのであった。さすがは持ち前の勘と、大邪との戦いで培われた感性がここにありといった感じだ。
「士郎君! 気を付けて!!」
 いつになくせわしなく呼び掛ける姫子の様子から、これから起こる事がただ事ではないのは士郎も感じる事が出来るのであった。
 そして、彼等はそのただならぬ雰囲気の正体をまざまざと見せられる事となるのであった。
「姫子さん……これは……」
「うん……予感はしていたんだけどね……まさか実行してくるなんてね……」
 そう乾いた語感にて言葉を交わす二人。彼等はそう反応するのも無理からぬ事なのであった。
 何故なら、再び黒鉄の城と三つの心が敵本体によって繰り出されていたからである。
 しかも、問題はその数であったのだ。それぞれが十体、計二十体がこの場に集結なされていたのだから。
「やっとこさ一人倒したと思ったのに……メタルクウラ……」
「「メタルクウラじゃないって!?」」
 何故か、姫子のボケに敵味方の垣根を越えたツッコミが冴えるのであった。
 そんな姫子に対して、レーコは気を取り直して警告を促す。
「あなた、今そんな余裕を見せている場合なの? この状況を良く見なさい!」
「そうだよ姫子さん」
 そう彼等が言うように、今の状況は絶望的もいい所だったからである。
 確かにこの有名ロボットを模した虚像は弾神と剣神にとっては余り強く無かったかも知れない。
 だが、それは彼等が一体ずつ相手をしたからに他ならないのだ。それがこのような軍勢で来られてはひとたまりもないというものであろう。
 そう、誰かが言った言葉であるが『戦いとは数』なのである。そして、それを実行に移せるヤゴコロノトウロと春日レーコの相性は得てして知るべきであろう。
 勿論、姫子はこの状況にはまともに立ち向かう事など出来ないだろう。
 いや──元より姫子は『まともにやり合う気』など更々無かったのであった。
「やっぱり、あの子の読み通りだったって事だね。ホント、どこまでも頼りになるよ♪」
 そう姫子はこの場にはいない新たな仲間に感謝をしつつ、彼女に託されたこの状況を打破する為の手段を弾神に握らせる。
 それは、半透明で近未来的な造型が特徴的な、どこかで見たような気がする代物であった。
「喰らえ〜! ウォーターガン!!」
 そう言いながら姫子はその銃の引き金を引く。その瞬間に咄嗟にレーコは脳を思考させる。
「ウォーター……水……って、マズい!」
 だが、その判断は今一歩遅かったようであった。姫子が引き金を引いた瞬間に、それは見事に繰り出されたからである。
 そう、弾神が手にしているのは水鉄砲であり、発射されているのはまごう事なき水圧であったからだ。
 しかし、水など放射して何になるだろうと思うだろう。
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