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神機楼戦記オクトメディウム
第18話 白陽の騎士と創造の神:後編
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……)
 そう言いながら姫子はじれったい心持ちとなっていたのである。
 すると、その願いが通じた訳では断じてないだろうが、敵の動きに変化が見られたのだ。
 突如として、敵機の関節という関節がピキピキと音を立てたかと思うと、それは一瞬にして起こったのであった。
 そう、ご存じの人も多いかも知れないが、この赤い機体は三体の戦闘機へと分離する機能が付いていたのである。姫子の銃撃をいつまでも斧で受け止めていては埒が明かないだろうと判断しての事であろう。
 だが……それこそが姫子が狙った通りの展開だったのであるが。
「よし、今がその時だね。相手が相手なだけに♪」
 そう色々とマズい発言をしながら姫子は咄嗟に弾神に持たせた銃をしっかりとその手に持たせ──そこからの行動は一瞬であったのだ。
 一気に姫子はその銃を連続で引き金を引かせると、まるで三発同時に撃ったかのように瞬時に飛び交う三体の戦闘機を射撃していたのであった。
 そう、姫子は人型を解除して戦闘機になり、防御姿勢を取れなくなった敵機の隙を突いたという事なのであった。
 しかし、この戦闘機形態はその作品では回避に徹する形態であるのだ。だから、そこを攻撃に狙うのは本来なら本末転倒もいい所なのであるが。
 その形態を『隙』として扱う事が出来たのは、他ならぬ姫子の類い希なる射撃能力があってこその事なのであった。
 そして、戦闘機三体は無残にも煙を上げながら不時着するのであった。余りいい気分のしない光景であるが、人が搭乗していないのがせめてもの救いというものだ。
 ともあれ、これで敵神機楼であるヤゴコロノトウロが繰り出して来た二体のパチもんロボットはこれにて撃墜された事に変わりはないのである。
 士郎の方もやるべき事を終えたのを確認した姫子は、得意気に敵へ向かって言葉を投げ掛けるのであった。
「さあ、レーコ先生のけしかけたロボットは『全て』倒しましたよ♪」
 ここに自分達の優位を確信しながら言った姫子。だが、それは些か気が早いというものであるのだった。
 この瞬間、姫子はレーコがコックピット内で不敵な笑みを浮かべているのが直感で察する事が出来たのであった。
 何か、嫌な予感がするのを姫子は感じざるを得なかった。
 その瞬間に一瞬水を打ったように辺りに静寂が走るが、それをレーコが打ち破るべく決定的な一言を口にする。
「……誰が、今の子達で『全て』だと言ったのかしら?」
 その言葉が意味する所は一つであろう。
「まさか……」
「恐らくその読みは正しいわよ。それじゃあ見せてあげるわ♪ それも『はっきりと分かりやすく』ね♪」
 レーコがそう言うと、彼女は再び愛機に指を鳴らさせる。すると、無の空間に再び気配が現れるのであった。しかも、それは先程の比では無かったのであった。
「!?」

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