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神機楼戦記オクトメディウム
第17話 白陽の騎士と創造の神:前編
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ず、生物然とした敵を切り裂いたのに、そこから感じる生き物を傷つけたという罪悪感・不快感が沸かないのであった。
 なので、彼は思わずこう呟く。
「……何かおかしいね?」
 その士郎の意見には、姫子も同意する所であった。
「うん、士郎君の読みは正しいよ」
「やっぱり」
 そう言う姫子を目の当たりにしながら、士郎は自分の感性が狂ってはいない事を再確認するのであった。
 だが、姫子はそんな士郎の更に上を行く事を言い始めたのである。
「何たって、今の子には大邪衆の人は搭乗してはいなかったからね」
「えっ!?」
 その思いも掛けない言葉に、士郎は度肝を抜かれてしまうのであった。今、姫子は何と言ったのだろうかと。
「姫子さん、何でそんな事分かるの?」
 当然の疑問であろう。まるで『見た』かのように姫子はそう言ってのけたのであるから。
 そう、それはつまり……。
「実際に『見た』からね。神機楼同士だと相手のコックピット内を見る事が出来るんだけど……この子にには『それが出来なかった』からね……」
「神機楼にそんな機能が……」
「士郎君は初めてだから驚くのも無理はないよね。でも、これから必要になってくるだろうから、覚えておいて損はないよ」
「ありがとう、姫子さん」
 その先輩からのアドバイスを快く受け取った士郎。だが、そうなると当然の疑問が沸いて出るのである。
「それじゃあ……『敵の本体』は一体どこに?」
「それはね……って、そこ!」
 士郎と言葉を交わしていた姫子であったが、突如として声を荒げると、あらぬ方向へと弾神の持つ銃から光の弾丸を発射したのであった。
 すると、その銃撃によって何者かが射抜かれたのであった。
 それは、人間をそのままビル郡程のサイズへと引き伸ばしたような歪な存在である、謂わば『巨人』とでも言うべき代物であった。
 それも、今の姫子の一撃で頭部を撃ち抜かれてしまっていたのであった。そして、彼は倒れるが、それも生物のそれとは大きく異なっていたのである。
「ふう……危うく今の子に『進撃』される所だったね……」
「また、別次元な事を……」
 そう二人が不毛なやり取りをしていると、そこに姫子や士郎とは違う、第三者の声が聞こえてきたのだ。
「へえ、今の奇襲を見破ったんだ……?」
 そんな言葉を発するのは他でもないだろう、いよいよ大邪衆の幹部が一人この場に現れたという事なのであった。
 そんな出方をしてきた敵に対して、姫子は疑問に感じながら問う。
「ここで本命が登場ってのは悪手じゃない? このまま本体が出ずに今まで通り『偽者』をけしかけ続ければ良かったと思うけどね?」
 そう挑発的に言う姫子であったが、どうやら敵はその口車には乗らないようであった。
「それはもう、あなたには通用しない……そうでしょう?
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