第17話 白陽の騎士と創造の神:前編
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目は存在せずに、その四肢は一つの繋がったものとなっていたのだから。
それに違和感を感じつつも、二人は改めて戦う姿勢を見せたのであった。──何故なら、この怪獣が今しがた街を襲っている事に変わりはないからである。
「士郎君。準備はいい?」
「はい、それとここは俺にやらせて下さい」
呼び掛ける姫子に対して、士郎はそう懇願するのであった。
彼は最初の頃だからと奥手に出るつもりはなかったのである。すぐにでも実戦を行い、それに慣れようとする彼の意気込みがそこにはあったのだ。
それは無謀と捉えられるかも知れない振る舞いであろう。だが、これが士郎の焦りなどではない事は、彼と手合わせした姫子には分かる所であるのだった。
──純粋に自分の力量を推し量りたい。それが士郎の望む所だと理解した姫子は、それに承諾して彼に言葉を投げ掛けるのであった。
「うん、ここは士郎君に任せたよ。あなたがピンチになったら加勢するけど、士郎君なら大丈夫だと思うよ♪」
「ありがとう、姫子さん!」
想い人に背を押される形となった士郎は、その後押しを噛み締めながらいよいよ敵の前まで剣神を駆りながら近付いていったのであった。
「そこまでだ!」
そう言って士郎は満を持して敵の眼前へと躍り出たのである。そして、改めて敵を見据える。
──見れば見る程異質である。これが、本当に大邪衆の駆る神機楼であるのか、と。
だが、こうして街を襲っている事は紛れもない事実なのだ。故に、士郎にはそれを阻止する以外の選択肢は存在はしなかったのであった。
「それじゃあ、行くぞ!」
その士郎の言葉に反応するかのように、怪獣は「キシャー」という奇声を上げ、その後自前の爪をその巨腕から繰り出してくるのであった。
それだけで、並大抵の物はなぎ倒されてしまいそうである。さすがは巨体を携えた怪獣といった所であろうか。
だが、士郎の目に映るそれは、全くを以って軽率な行為に他ならなかったのであった。
──攻撃が単調すぎる。これが本当に人の手で操縦されての動きだというのか。
そう思いながら士郎は軽々と敵の大振りの爪撃を避けながら、一気に敵の懐へと潜り込んだのであった。
「そこっ!」
そして、気合の入った掛け声と共に彼は剣神に持たせていた刀を振り抜いたのである。これも姫子と手合わせした時に見せた『居合い』の要領であろう。
その一閃により、怪獣はその腹部を一気に斬られてしまったのであった。その部分への一撃は例え機械である神機楼であっても致命傷となるだろう。
故か、その怪獣は呻くような声をあげたかと思うと、その場で倒れ伏してしまうのであった。
これにて、勝負はあったようだ。
「…………」
初めての勝利を収めた士郎。しかし、彼の胸中にあるのは違和感ばかりなのだった。
ま
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