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神機楼戦記オクトメディウム
第16話 新たなる戦士の息吹
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てしまえばいいという判断なのだ。
 何故なら、敵は銃撃を得意とするのだから。加えて、失礼な話になるが、士郎は姫子の事を運動音痴だとは知っていたからだ。
 例え一目惚れした相手でも、敵であるなら容赦はしない。そのような戦士としての気概を士郎は持っていたのであった。
 だが──その事は姫子も重々承知の上であったのだが。
 彼女は、機関銃の回避行動をしつつ一気に懐に潜り込んだ士郎を見ながらこう言うのであった。
「零距離、取っちゃったよ♪」
 そして、姫子は隠し持っていたもう一つの銃を懐から咄嗟に取り出したのである。そして、そこには飛んで火に入る夏の虫の如き敵を迎え撃つには十分なエネルギーが既に充填されていたのであった。
 それを迷わずに姫子は士郎に至近距離から引き金を引く。これで勝負あっただろう。
 だが、士郎はただではやられはしなかったのであった。
「くぅっ……!」
 そう呻きながら彼は、飛び入った体の勢いを乗せて咄嗟に刀を鞘から振り抜いたのである。所謂『居合い』というものであろう。
 そして、その抜刀は至近距離から放たれる姫子の凶弾と肉薄し……そのまま大きく爆ぜたのであった。刹那、道場には激しい爆発音と光の奔流が迸ったのであった。

◇ ◇ ◇

「つまり、この手合わせは──引き分けという事ですね」
 そう言いながら駆け寄ってきた和希は、その笑顔を道場の床で倒れ伏す二人へと向けていたのであった。
 ちなみに、これは三神器の神機楼同士の力による戦いであった為に二人には物理的なダメージはなく、服がはだけたり破けたりするというサービスシーン等はなかったのであった。残念!
 そして、笑顔の元に和希は二人を労うのであった。
「よくやりました二人とも。特に士郎は初めての神機楼の力を用いての戦いで、よくここまでやりました」
「和希……兄さん」
 兄の労いを受けながら起き上がった士郎は、そう未だに実感の沸かない自身の実力を手探りするように噛み締めようとする。
 そこへ、姫子からも声が掛かってきたのであった。
「和希さんの言う通りだよ士郎くん♪ 初めてでこうもされちゃあ、先輩としてうかうかしていられないってものだよ♪」
 そう言うと姫子はにっこりととびきりの笑顔で以って士郎を迎え入れたのであった。
 その想い人からの労いを受けて、士郎はどんどん顔が赤くなっていき──。
「ひ、姫子さんに認めらえばぁ〜〜〜!!」
 盛大に鼻血を出して倒れ掛かったのであった。
「し、士郎くん!?」
 そんな新たな好敵手の思いも掛けないリアクションにたじろぐ姫子と──。
「今時その程度の台詞で鼻血? やっぱり、こんな二人で大丈夫ですか?」
「──一番いいのを、とは言いませんが少し考えさせて下さい」
 端から呆れ果てる幸人と和希の姿があるの
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