第16話 新たなる戦士の息吹
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和希からこんな提案がなされるのであった。
それは驚きよりも、心のどこかで予想していた事なのだった。
「それでは姫子さん。剣神の力を手にした弟──士郎との手合わせをお願いしていいですか?」
◇ ◇ ◇
勿論、姫子はその和希の申し出を快く受けたのであった。それはどこにも断る理由などなかったからである。
いや、一つだけあった。それは他ならぬ、姫子が運動音痴である所であったのだ。
だが、彼女はその事から逃げずに和希からの要望を承諾するに至っているのであり、今こうして大神家の道場にて士郎と対峙しているのであった。
そして、立会人には和希と幸人の二人がそこにはいたのである。そんな中で姫子は思う。
(うん、頑張ろう。『銃は剣よりも強し』って言うしね)
そこで、姫子はまた別次元な理論を脳内に浮かべているのであった。肝心のその銃士は剣士よりも強かったかと言うと、ものすご〜く微妙な所であるのだが。
ともあれ、事実はどうあれ姫子は自身の脳内に発破を掛ける事には成功しているようであった。『病は気から』と言うように、全てのケースに当てはまる事はそこまで多くないが要は気持ちの持ちような事も多々あるのだから。
そのように姫子が考えていると、当の対戦相手である士郎から声が掛かってくるのであった。
「き、今日は、お手合わせお願いします、姫子さん!」
そんな士郎の態度を見て、姫子は『はは〜ん』と思うのであった。──彼はどうやら自分に気があるのだと。
その事は前々から姫子は察していた所であるのだった。今まで会合の時などに彼が自分を見る目は、正に一目惚れのそれである事は重々感じる事が出来たのだ。
そんな相手の気持ちを利用して惑わしつつ勝つという手段も姫子は一瞬考えたが、それはすぐに破棄する事にしたのであった。
そういう手段は泉美なら使うかも知れない。そしてそんな泉美に対して姫子は否定的ではない。
だが、ここには自分のやり方というものがあるのであった。なので、自分はそのような手段は用いずに正々堂々と戦おうと姫子は心に誓うのであった。
そのような、これから手合わせを行う者達としてはどこか微妙な二人を取り仕切るべく、幸人は口を開く。
「それでは和希さん、開始の合図をしましょうか?」
「ええ、それがいいですね」
今から戦い合う者達を待たせるのは無粋というもの。故に、迷う事なく和希は言い切るのであった。
「では、始め!」
その合図を皮切りに、勝負の火蓋は落とされたのである。
最初に動いたのは姫子であった。現実の銃と剣の戦いでは圧倒的に銃に分があるというものであるが、今の自分達はその『現実』とは些か違う世界へと足を突っ込んでいるのだ。
だから、姫子には様子見などという悠長な事は考えてはいられないだろうという考えがあっ
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