第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第37話 外界っ子バトル:中編
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明らかにした。
それは、先程の魚人とは違い、身体の構造自体は海で生活を営む魚類そのものであった。
だが、違うのは胸ビレの部分が発達して、まるで鳥類の翼のようになっていた事である。
そして、頭部には一角獣の如き角が立派に備わっている。
その異質な魚の名前を勇美は読み上げる。
「【飛魚「メタルフライキラー」】。さあ、第二幕、行かせてもらいますよ!」
そう意気揚々と勇美が宣言すると、早速と言わんばかりに『メタルフライキラー』はその身体を瞬時に踏み込むと、一気に空高く飛び上がっていったのだった。
「どうですか! 今度の子は空を飛べるんですよ」
「くっ、さすがは飛び魚という事ですか!」
奇策を打ち出して来た勇美に対して、早苗もこれには動揺を見せた。
迫り来る空を切る一角魚。だが、生真面目な早苗はここで臆する事なく先程のように祓い棒に霊力を込めてそれを迎えた。
その瞬間、金属を叩きつけるかのような甲高い物音が響いた。見事に早苗の棒は飛び魚の角を受け止めていたのだった。
まるで弾丸のように飛び込んで来た鋼鉄の魚。早苗はそれに僅かに戦慄さえ覚えていた。
「くぅ……」
早苗は苦悶の声を漏らす。
「やりますね……」
対して勇美は冷や汗をかいていた。自分は直接攻撃していないのに、相手の気迫がまるで自分に届いているかのようであったのだ。
「でも、この子の攻撃はまだ終わっていませんよ」「でしょうね」
得意気に言う勇美に、早苗も軽口で返す。だが彼女の本心は気が気ではなかった。
そうしている内に、鋼鉄の飛び魚は一瞬にしてその場から離れた。
これが対人同士の戦いなら相手に好機を与える事となっていただろう。
だが、この戦いでは戦うのは人型の早苗に対して、勇美本人ではなく、更に魚の形をした存在なのだ。
故に相手から大胆に離れるという戦法を取っても、勇美にはデメリットは存在しないのである。
そして、空をすばしっこく泳ぎ始めた飛び魚は、その最中に再び早苗に狙いを定めていた。
刹那、再度飛び魚は自らの身体を弾丸に見立て、獲物へとその身を突っ込ませていったのだ。
再び鋭利な角と祓い棒とがぶつかり合う。幸い早苗は空気の流れを読み、直前に攻撃に合わせて防御体制を取る事が出来たのである。
「やりますね、でも次はどうでしょうか?」
言って勇美は再びメタルフライキラーを素早く早苗の元から引き離したのだ。
「やはりそう来ますか!」
対する早苗は身構える。だが、心なしか先程までよりも表情に幾分余裕が見られた。
そして、勇美は自分の僕を巧みに空中で暴れ回らせながら早苗を翻弄していた。
「行きますよ先輩!」
相手を惑わし、準備も万端と踏んで、勇美は再三早苗に対して魚を模した鉛弾の狙いを定める。
だが、その様
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