第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第37話 外界っ子バトル:中編
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すべき事であった。幻想郷の者達は基本的に空を飛びながら戦うのだから。
だが、後悔先に立たずである。早苗は先程自分に一泡吹かせた忌まわしき機械魚から遠ざかり、距離をとったのだ。
そして、早苗は空中からの攻撃の手段を懐から取り出す。
「おみくじ爆弾……」
呟くように言うのと同時に、早苗は手にとったおみくじの箱を思い切り宙で振った。
すると、そこから運勢の書かれた棒が飛び出し、アイアンサハギン目掛けて飛んでいったのだ。
彼におみくじが当たった。それと同時に当たった箇所がそこまで大きくなくとも破壊力の凝縮された爆発に巻き込まれた。
そして、二つ、三つとおみくじ型の爆弾は追加されていき、瞬く間に鉄魚人は爆撃に飲み込まれていったのだった。
一頻り爆撃が起こり、やがてはそれも収まった。その場所にあったのは、先程まで魚人の形を形成していた存在のなれの果ての金属片と歯車の残骸の塊であった。
「アイアンサハギンが……」
勇美は苦悶の表情を浮かべる。自分の取って置きのスペルで産み出した存在が、スペルカードでもない攻撃手段にものの見事に破壊されてしまったのだから。
「他愛もありませんね〜」
「くっ」
早苗に挑発的な言葉を投げ掛けられ、今度は勇美が毒づく番となってしまったようだ。
「勇美さん、次は私から仕掛けていいですか?」
「いいえ、ちょっと待って下さい」
勇美はそう往生際の悪い態度を見せた。
「……はい、なるべく早くお願いしますね」
それに対して、早苗は呆れながら言った。この子は些か先輩に対する振る舞いがなっていないのではないだろうかと思うのだった。
「すみませんね。では第二の儀式、行きますよ」
──次が来るのか、そう早苗は思った。だが、それもそうだと思い直す事にしたのだ。
確かに、自分は先程鏡から繰り出されられた魚人を打ち倒したのであるが、当の鏡は未だ健在だからであった。
受けて立とう、そう早苗は考え、勇美の次なる召喚に備えるのだった。
そして、勇美が懐から取り出したのは、──板チョコであった。
「うん、あの子は儀式を愚弄しすぎだよね」
「はい、私もそう思います」
これには神奈子も依姫も頭を抱えるしかなかった。
「チョコか〜、いいなあ〜」
そんな二人に対して、諏訪子は涎を垂らして指を咥えて見ていた。
「諏訪子、お前はちょっと黙ってろ……」
「あ〜う〜」
神奈子に辛辣な物言いをされ、諏訪子は軽く凹むのだった。
そんな間にも、儀式(とはとても呼べない何か)は着実に進められていたのだった。
そして、鏡の中から勇美が送る第二の刺客がその姿を現し始めていた。
「……」
迎え撃つ早苗は思わず唾を飲み、その様子を目に焼き付ける。そして、彼女の期待に応えるかのように、怪物はその全貌を
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